はるか
ベリー=エシーンの定理、中心極限定理の精度を評価するもの。
ふゅか
そうね!中心極限定理が「たくさんのデータがあると標準正規分布に近づく」って話だったけど、その精度を教えてくれるのがベリー=エシーンの定理なのよ!
1. ベリー=エシーンの定理 (Berry–Esseen theorem) とは?
ベリー=エシーンの定理は、中心極限定理 (CLT: Central Limit Theorem) に関する精度を定量的に示す定理です。
1.1. 背景
中心極限定理 (CLT) 中心極限定理によれば、独立で同分布 (i.i.d.) の確率変数 X1,X2,…,Xn の和が適切に標準化されると、 n→∞ のとき標準正規分布 N(0,1) に分布収束します。
具体的に、各確率変数 Xi の期待値 E[Xi]=μ、分散 Var(Xi)=σ2 が存在する場合、
Sn=n1i=1∑n(Xi−μ)
は標準正規分布に収束します。
しかし、中心極限定理の精度そのものでは明示されません。
2. 定理の定式化
独立な確率変数 X1,X2,…,Xn があり、それぞれの期待値 E[Xi]=μ、分散 Var(Xi)=σ2 となるとします。また、このとき、確率変数Snを
Sn=σn1j=1∑n(Xj−μ))
Φ(x)を標準正規分布の累積分布関数とすると、中心極限定理の精度の評価は次のようにされます。
x∈Rsup∣P(Sn≤x)−Φ(x)∣≤nCρi
ここで C は、一般に
0.4049≤C≤0.7975
が知られています。