【論理回路】ブール代数の演算と意味、性質について


1. ブール代数とは?
ブール代数(Boolean Algebra)は、19世紀の数学者ジョージ・ブールによって考案された論理の体系です。これは、真(True)と偽(False)という2つの値を扱います。簡単に言えば、日常的な「論理的な考え方」を数学的に整理したものです。
1.1. コンピューターとブール代数の関係
コンピューターの世界では、「1(オン)」 と 「0(オフ)」 の二進法(バイナリ)で扱います。このため、真と偽を扱うブール代数の考え方は、コンピューターの設計や動作の根幹を支える重要な役割を果たしています。
2. ブール代数の基本演算
2.1. 結合法則
結合法則は、括弧の位置を変えても結果が変わらないことを示しています。
2.1.1. 論理和(OR)
\[ A + (B + C) = (A + B) + C \]
例: \( A \) が「真」であれば、どの順序で括弧を計算しても最終的に結果は「真」になります。
2.1.2. 論理積(AND)
\[ A \cdot (B \cdot C) = (A \cdot B) \cdot C \]
例: \( A, B, C \) がすべて「真」であれば、括弧の計算順序にかかわらず結果は「真」です。

2.2. 分配法則
分配法則は、足し算と掛け算のような関係を示します。
\[ A \cdot (B + C) = (A \cdot B) + (A \cdot C) \]
例: \( A = 1 \) のとき、\( B + C \) の各項に \( A \) を掛けた結果は同じです。
2.3. ド・モルガンの法則
ド・モルガンの法則は、論理を否定(NOT)する際に利用される重要なルールです。


2.3.1. 論理積の否定
\[ \overline{A \cdot B} = \overline{A} + \overline{B} \]
例: \( A \) と \( B \) の両方が「真」でなければ、その否定は \( \overline{A} \) または \( \overline{B} \) が「真」となります。
2.3.2. 論理和の否定
\[ \overline{A + B} = \overline{A} \cdot \overline{B} \]
例: \( A \) または \( B \) が「真」でない場合、それらの否定を掛け合わせると結果は「真」となります。
2.4. 単位元
単位元は、値を変えない演算を表します。
2.4.1. 論理和
\[ A + 0 = A \] 例: \( A \) が「真」であれば、0(偽)を足しても \( A \) の値は変わりません。
2.4.2. 論理積
\[ A \cdot 1 = A \] 例: \( A \) が「真」であれば、1(真)を掛けても \( A \) の値は変わりません。
2.5. 同一性の法則
この法則では、同じ値を繰り返しても結果が変わらないことを表します。
2.5.1. 論理和
\[ A + A = A \]
2.5.2. 論理積
\[ A \cdot A = A \]
2.6. 相補性の法則
相補性の法則は、ある値とその否定を演算した結果を示します。
2.6.1. 論理和
\[ A + \overline{A} = 1 \]
例: \( A \) が「真」でも「偽」でも、どちらか一方が必ず「真」なので結果は常に1です。
2.6.2. 論理積
\[ A \cdot \overline{A} = 0 \]
例: \( A \) が「真」であれば \( \overline{A} \) は「偽」になり、掛け合わせると結果は常に0です。
2.7. 二重否定
二重否定では、値を2回否定すると元の値に戻ることを示します。
$$\overline{ \overline A} = A$$