対偶を利用した証明問題の解き方について



1. 対偶を利用した証明問題
対偶を用いた証明は、命題 \( P \Rightarrow Q \) を証明する際、その対偶である \( \overline{Q} \Rightarrow \overline P \) を証明する方法です。対偶は元の命題と真偽が同じであるため、元の命題が成立することを示す代わりに、その対偶が成立することを示しても同じ結論を得られます。例題を通して、対偶の使い方に慣れましょう。
2. 例題
2.1. 例題1: 偶数の平方は偶数である
この命題の対偶「\( n\) が奇数ならば、\( n^2 \) が奇数である」を証明します。
$k$を自然数とすると、$n=2k-1$と置くと、
$$n^2=(2k+1)^2=4k^2+4k+1 =2(k^2+k)+1$$
よって、$n^2$も奇数であるため、対偶の命題が真になる。したがって、元の命題「\( n^2 \) が偶数であれば、\( n\) も偶数である」も成立します。
2.2. 例題2: 奇数の平方は奇数である
この命題の対偶「\( n\) が偶数ならば、\( n^2 \) が偶数である」を証明します。
$k$を自然数とすると、$n=2k$と置くと、
$$n^2=(2k)^2=4k^2 =2\cdot 2k^2$$
よって、$n^2$も偶数であるため、対偶の命題が真になる。したがって、元の命題「\( n^2 \) が奇数であれば、\( n\) も奇数である」も成立します。
2.3. 例題3:$n^4+1$
この命題の対偶「\( n\) が偶数ならば、\( n^4+1 \) が奇数である」を証明します。
$k$を自然数とすると、$n=2k$と置くと、
$$n^2=(2k)^4+1=16k^2+1 =2\cdot 8k^2+1$$
よって、$n^2$が奇数であるため、対偶の命題が真になる。したがって、元の命題「\( n^2 \) が奇数であれば、\( n\) も奇数である」も成立します。
2.4. 例題4:$m^2+n^2+l^2$が偶数
この命題の対偶「\( mnl\) が奇数ならば、\( m^2+n^2+l^2 \) が奇数である」を証明します。
\( m, n, l \) を奇数と仮定すると、次のように書けます。
\[ m = 2k_1 – 1, \quad n = 2k_2 – 1, \quad l = 2k_3 – 1 \] (ここで、\( k_1, k_2, k_3 \) は自然数)
各変数の平方を計算します。
\[ m^2 = (2k_1 – 1)^2 = 4k_1^2 – 4k_1 + 1 = 2(2k_1^2 – 2k_1) + 1 \]
\[ n^2 = (2k_2 – 1)^2 = 4k_2^2 – 4k_2 + 1 = 2(2k_2^2 – 2k_2) + 1 \]
\[ l^2 = (2k_3 – 1)^2 = 4k_3^2 – 4k_3 + 1 = 2(2k_3^2 – 2k_3) + 1 \]
\( m^2 + n^2 + l^2 \) を計算します。
\[ \begin{align*}m^2 + n^2 + l^2 &= 2(2k_1^2 – 2k_1) + 1 + 2(2k_2^2 – 2k_2) + 1 + 2(2k_3^2 – 2k_3) + 1 \\ &=2\{(2k_1^2 – 2k_1) + (2k_2^2 – 2k_2) + (2k_3^2 – 2k_3)\} + 3 \end{align*}\]
よって、$m^2+n^2+l^2$が奇数であるため、対偶の命題が真になる。したがって、元の命題「\( m^2+n^2+l^2\) が偶数であれば、\(mnl\)は偶数である」も成立します。
2.5. 例題5
命題の主張を理解するために、まず値を代入して実験してみます。
\( \displaystyle\sum_{i=1}^{2n} a_{i}^2\)は偶数個の平方和であるから、n=2のときを考える。
$a_1=1,a_2=1,a_3=1,a_4=2$とすると、
$$\begin{align*} \displaystyle\sum_{i=1}^{4} a_{i}^2 &= 1^2+1^2+1^2+2^2 \\ &= 7\end{align*}$$
一方で、積$a_1a_2a_3a_4=2$となるため、命題が成り立っていることを確認できる。では証明に移りましょう。
この命題の対偶「\( a_1a_2\cdots a_{2n} \) が奇数ならば、\( \displaystyle\sum_{i=1}^{2n} a_{i}^2 \) が偶数である」を証明します。
\( a_1a_2\cdots a_{2n} \) が奇数であるためには、すべての \( a_1, a_2, \ldots, a_{2n} \) が奇数である必要があります。
つまり、各 \( a_i \) に対して合同式を利用すると、 \( a_i \equiv 1 \pmod{2} \) です。
奇数$a_i$の平方は次のようになります。
\[
a_i^2 \equiv 1^2 = 1 \pmod{2}
\]
したがって、すべての \( a_i \) に対して、\( a_i^2 \equiv 1 \pmod{2} \) です。
次に、\( a_1^2 + a_2^2 + \cdots + a_{2n}^2 \) を考えます。
各 \( a_i^2 \equiv 1 \pmod{2} \) なので、平方の和は次のように表されます。
\[
a_1^2 + a_2^2 + \cdots + a_{2n}^2 \equiv 1 + 1 + \cdots + 1 \pmod{2}
\]
ここで、1が \( 2n \) 個並んでいるので、
\[
a_1^2 + a_2^2 + \cdots + a_{2n}^2 \equiv 2n \pmod{2}
\]
\( 2n \) は偶数なので、\( 2n \equiv 0 \pmod{2} \) です。したがって、
\[
a_1^2 + a_2^2 + \cdots + a_{2n}^2 \equiv 0 \pmod{2}
\]
すなわち、\( a_1^2 + a_2^2 + \cdots + a_{2n}^2 \) は偶数であることから、対偶の命題が真になる。したがって、元の命題「 \( \displaystyle\sum_{i=1}^{2n} a_{i}^2\) が奇数であれば、\( a_1a_2\cdots a_{2n}\)は偶数である」も成立します。