更新:2024/09/26

不等式e^π > π^eの2つの証明について

ふゅか
ふゅか
この「e^π > π^e」って見たことある?なんかすごくない?円周率とネイピア数が戦ってるみたい!
はるか
はるか
うん、知ってる。証明は結構シンプルだけど、面白い。

1. e^π > π^e

ネイピア数と円周率の間には次の不等式が成り立つ

$$e^\pi > \pi^e$$

  • $e^π$・・・ゲルフォントの定数と呼ばれる。
  • $e^π$・・・ほとんど整数であることで有名。

2. 微分を利用した証明

はるか
はるか
まず、両方の数に自然対数を取る。それで比較が楽になる。

2.1. 証明の方針

不等式 \( e^{\pi} > \pi^{e} \) を証明するする際に、扱いやすくするために、式変形をします。両辺に自然対数をとると、

$$\pi \log e > e \log \pi$$

両辺を$\pi e$で割ると、

$$\frac{\log e}{e} > \frac{ \log \pi}{\pi}$$

つまり、$\frac{\log x}{x}$のグラフを調べて、大小比較をしたら不等式を導けるのではないか!!!

2.2. 証明

\( f(x) = \frac{\log(x)}{x} \) とします。商の微分公式より、

\[ f'(x) = \frac{1 - \log(x)}{x^2} \]

\( f'(x) = 0 \) の解が \( x = e \) であるから、\( x = e \) で極大値を取ることが分かります。増減表を書くと次のようになります。

増減表からわかるように、\( x = e \) で極大を持ち、それ以降は減少します。したがって、$x<\pi$であるので、

$$\frac{\log e}{e} > \frac{ \log \pi}{\pi}$$

両辺を$\pi e$かけると、

$$\begin{align*}\pi \log e &> e \log \pi \\ \log e^{\pi} &> \log \pi^{e} \end{align*}$$

よって、\( e^{\pi} > \pi^{e} \) です。

3. マクローリン展開が背景にある証明

3.1. 証明の方針

$e^x$をマクローリン展開すると

\[ e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \dots \]

であることから、$e^x \geq 1 + x$が成り立つ。

この不等式を利用する。この$1 + x$の$1$が邪魔ではあるので・・・

3.2. 証明

$e^x \geq 1 + x$より、$x=\dfrac{\pi}{e}-1$を代入すると、

$$\begin{align*}e^{\frac{\pi}{e}-1}&\geq \dfrac{\pi}{e} \\ e^{\frac{\pi}{e}}\frac{1}{e}&\geq \dfrac{\pi}{e}\\ e^{\frac{\pi}{e}} &\geq \pi \end{align*}$$

不等式の両辺をe乗すると、

$$\begin{align*}\left(e^{\frac{\pi}{e}}\right)^e &\geq \pi^e\\ e^\pi &\geq \pi^e\\ \end{align*}$$

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