ふゅか
因数定理ってすごく便利だよね!多項式の因数を簡単に簡単に確認できるのよね。
はるか
1. 因数定理
因数定理は、代数における多項式の性質に関する定理で、次のように述べられます。
多項式 f(x) に対して、ある数
a が
f(x) の根(
f(a)=0 )であるならば、
(x–a) は
f(x) の因数である。
言い換えると、もし f(a)=0 であれば、f(x) は (x–a) で割り切れるということです。
1.1. 具体例
例えば、多項式 f(x)=x3–6x2+11x–6 について考えます。この多項式に対して x=1 を代入すると、
f(1)=13–6×12+11×1–6=0
つまり、x=1 は f(x) の根であるので、因数定理によって (x–1) は f(x) の因数であることがわかります。
この場合、実際に f(x) を (x–1) で割ってみると、商は x2–5x+6 となり、完全に割り切れます。したがって、
f(x)=(x–1)(x2–5x+6)
さらに、x2–5x+6 も因数分解できるので、最終的に
f(x)=(x–1)(x–2)(x–3) となります。
このように、因数定理を利用することで多項式の因数を見つけやすくなります。
2. 因数定理の候補の見つけ方
ふゅか
でも、どうやって因数の候補を見つけるか、最初は迷っちゃうよね。
はるか
2.1. 因数 r の候補の見つけ方
多項式 f(x) が次の形で表されているとします。
f(x)=anxn+an−1xn−1+⋯+a1x+a0
ここで、an が最高次の係数、a0 が定数項です。定数項と最高次項の係数に注目します。
有理数解の定理より、因数の候補は次のようにして求めます。
因数の候補=anの約数a0の約数
候補となる r の値を代入して、f(r)=0 を満たすか確認します。もし f(r)=0 ならば、x–r は因数です。
2.2. 具体例
例えば、次の多項式を考えます。
f(x)=2x3+3x2–8x–12
- 定数項 a0=−12
- 最高次の係数 an=2
2.3. 定数項の約数
定数項 −12 の約数は次の通りです。 ±1,±2,±3,±4,±6,±12
2.4. 最高次係数の約数
最高次項の係数 2 の約数は次の通りです。 ±1,±2
2.5. 候補の r の値
したがって、候補の r は次の形になります。
±1,±21,±2,±23,±3,±26,±6,±212,±12
重複を除去すると、
±1,±21,±2,±23,±3,±6,±12
これらの値を f(r) に代入して、どれが f(r)=0 を満たすか確認していきます。
3. 因数定理の証明
f(x) を次数 n の多項式とします。ここで、f(a)=0 であることを仮定します。
まず、f(x) を (x–a) で割ることを考えます。Q(x)を商、Rをあまりとすると、
f(x)=(x–a)Q(x)+R
f(x) を (x–a) で割る際、余りの次数は必ず (x–a) よりも低い次数でなければなりません。したがって、R の次数は 0 以下です。つまり、Rは定数項になります。
仮定から f(a)=0 です。これを上記の式に代入すると、
f(a)=(a–a)Q(a)+R=0+R=R=0
となります。したがって、R=0 であることがわかります。
よって、f(x)=(x–a)Q(x) となり、(x–a) は f(x) の因数であることが示されました。
4. 因数定理の例題
次の多項式
f(x)=2x3–3x2–8x+12 が
x–2 、
x+2と
x–23を因数として持つかを確認しなさい。
f(2) の計算は次のようになります。
f(2)=2(2)3–3(2)2–8(2)+12= 2(8)–3(4)–8(2)+12=16–12–16+12=0
因数定理より、f(x)=2x3–3x2–8x+12 は x–2 を因数として持つ。
f(−2) の計算は次のようになります。
f(−2)=2(−2)3–3(−2)2–8(−2)+12=2(−8)–3(4)+16+12=−16–12+16+12=0
因数定理より、f(x) は x+2 も因数として持ちます。
f(23) の計算は次のようになります。
f(23)=2(23)3–3(23)2–8(23)+12=2(827)–3(49)–8(23)+12=427–427–12+12=0
因数定理より、f(x) は x–23 も因数として持ちます。
したがって、これらはすべて f(x)=2x3–3x2–8x+12 の因数となります。
ふゅか
実際に割り切れるか試してみるのも、ドキドキするわ!
はるか