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更新:2024/09/23

フェルマーの小定理と定義・具体例・証明・例題について

はるか
はるか
フェルマーの小定理って、意外と証明が奥深い。
ふゅか
ふゅか
そうだね!「素数」と「互いに素」が重要なポイントなのよね♪ 例えば、3^6を7で割った余りが1になることがすぐわかるの、すごいよね!

1. フェルマーの小定理とは

任意の素数 \( p \) とpと互いに素である整数 \( a \) に対して、次の式が成り立ちます。

\[ a^{p-1} \equiv 1 \pmod{p} \]

つまり、整数 \( a \) を素数 \( p \) で割った余りを考えたとき、\( a \) を \( p-1 \) 乗した結果の余りは常に 1 になります。

1.1. 具体例

例えば、素数 \( p = 7 \) と整数 \( a = 3 \) を考えると、

\[ 3^6 \equiv 1 \pmod{7} \]

実際に計算すると、

\[ 3^6 = 729 \]

729 を 7 で割った余りは 1 となります。このように、フェルマーの小定理が成り立つことが確認できます。

2. フェルマーの小定理の証明

はるか
はるか
数学的帰納法の証明、難しそうに見えるけどステップごとに見るとそこまで難しくない。
ふゅか
ふゅか
そうそう!まず、a=1のときは明らかに成り立つし、次はm+1の場合を考えるわけね♪ 二項定理を使って展開すれば、証明できちゃうよ!

2.1. 証明1(数学的帰納法を利用した証明)

フェルマーの小定理の証明に先立って、まず次の補題を示します。

任意の正の整数 \( a \) に対して、次の式が成り立つ。

\[ a^p \equiv a \ (\text{mod} \ p) \]

この補題を数学的帰納法により示します。

\( a = 1 \) のとき、明らかに \( 1^p = 1 \) です。したがって、\( 1^p \equiv 1 \ (\text{mod} \ p) \) が成り立ちます。

ある任意の整数 \( m \) に対して \( m^p \equiv m \ (\text{mod} \ p) \) が成り立つと仮定します。

次に、\( m + 1 \) のとき、\( (m + 1)^p \) について考える。

二項定理を用いると、次のように展開できます。

\[ (m + 1)^p = m^p + \binom{p}{1}m^{p-1} + \binom{p}{2}m^{p-2} + \dots + \binom{p}{p-1}m + 1 \]

ここで、\(\binom{p}{k}\) は二項係数であり、\( p \) は素数であるため、\( k = 1, 2, \dots, p-1 \) について二項係数は \( p \) で割り切れます。したがって、次の式が成り立ちます。

\[ (m + 1)^p \equiv m^p + 1 \ (\text{mod} \ p) \]

さらに、仮定より \( m^p \equiv m \ (\text{mod} \ p) \) が成り立つので、

\[ (m + 1)^p \equiv m + 1 \ (\text{mod} \ p) \]

よって、補題はm+1の時も成り立つ。

したがって、数学的帰納法より、任意の正の整数 \( a \) に対して

\[ a^p \equiv a \ (\text{mod} \ p) \]

が成り立つことが示された。

はるか
はるか
次にフェルマーの小定理の証明に移る。

今、\( p \) と \( a \) が互いに素であると仮定します。このとき、補題から \( a^p \equiv a \ (\text{mod} \ p) \) が成り立ちます。\( a \) が \( p \) と互いに素であるため、両辺を \( a \) で割ることができます。

\[ a^{p-1} \equiv 1 \ (\text{mod} \ p) \]

これでフェルマーの小定理が証明されました。

2.2. 証明2(割った余りが異なることを利用)

ふゅか
ふゅか
次に、フェルマーの小定理の証明2!これは余りが異なることを利用したアプローチよ!
はるか
はるか
a, 2a, …, (p-1)aをpで割った余りが全部異なるってことが肝。

フェルマーの小定理の証明に先立って、まず次の性質を示します。

\( a, 2a, \dots, (p-1)a \) を \( p \) で割った余りがすべて異なる。

次に、\( a, 2a, \dots, (p-1)a \) を \( p \) で割った余りを考えます。各 \( ka \) の \( p \) での余りを \( r_k \) とします。すなわち、\( r_k = ka \ (\text{mod} \ p) \) です。

このとき、もし \( r_i = r_j \) (ただし \( i \neq j \))が成り立つと仮定するなら、次のようになります。

\[ ia \equiv ja \ (\text{mod} \ p) \]

両辺から \( ja \) を引くと、

\[ (i-j)a \equiv 0 \ (\text{mod} \ p) \]

\( p \) と \( a \) は互いに素なので、\( (i-j) \) が \( p \) で割り切れなければなりません。しかし、\( 1 \leq i, j \leq p-1 \) なので、\( i-j \) は \( p \) の倍数ではない。\( i = j \) となり、これは仮定に反します。したがって、全ての \( r_k \) は異なる余りを持ちます。

\( r_1, r_2, \dots, r_{p-1} \) は異なる余りを持つため、 \( 1, 2, \dots, p-1 \) のどれかに等しくなります。これにより、

\[ a \cdot 2a \cdot \dots \cdot (p-1)a \equiv 1 \cdot 2 \cdot \dots \cdot (p-1) \ (\text{mod} \ p) \]

左辺は、

\[ a^{p-1} \cdot (p-1)! \equiv (p-1)! \ (\text{mod} \ p) \]

となります。ここで、\( (p-1)! \) は \( p \) と互いに素(\( p \) は素数)なので、両辺を \( (p-1)! \) で割ることができ、

\[ a^{p-1} \equiv 1 \ (\text{mod} \ p) \]

が成り立ち、これでフェルマーの小定理が証明されました。

3. 例題

3.1. 例題 1(計算問題)

素数 \( p = 7 \) のとき、次の式を計算しなさい。

\[ 3^{10} (\text{mod} \ 7) \]

フェルマーの小定理により、 \( 3^6 \equiv 1 (\text{mod} \ 7) \) であるので

$$ 3^{10} \equiv 3^6 \times 3^4 \equiv 1 \times 3^4 (\text{mod} \ 7) $$

したがって、$3^4$を計算すると、

$$3^4 \equiv3^2\times 3^2 \equiv 2\times 2 \equiv 4 (\text{mod} \ 7) $$

最終的に、\( 3^{10} (\text{mod} \ 7) = 4 \) です。

3.2. 例題 2(計算問題)

素数 \( p = 11 \) のとき、次の式を計算しなさい。

\[ 5^{15} (\text{mod} \ 11) \]

フェルマーの小定理により、 \( 5^{10} \equiv 1 (\text{mod} \ 11) \) であるため、

$$5^{15} = 5^{10} \times 5^5 \equiv 1 \times 5^5 (\text{mod} \ 11) $$

したがって、$5^5$を計算すると、

$$ 5^5 \equiv 5^3 \times 5^2 \equiv 4 \times 3 \equiv 1(\text{mod} \ 11) $$

したがって、\( 5^{15}(\text{mod} \ 11) = 1 \) です。

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