フィッシャー指数の意味と計算方法について



1. フィッシャー指数とは?
フィッシャー指数(Fisher Index)は、物価や数量の変化を測定するために使われる指数の一つで、ラスパイレス指数(Laspeyres Index)とパーシェ指数(Paasche Index)の幾何平均として定義されます。
ラスパイレス指数とパーシェ指数には以下の特徴があります:
- ラスパイレス指数:基準年の数量を重みとした指数(物価の変化を主に測る)
- パーシェ指数:比較年の数量を重みとした指数(数量の変化を主に測る)
ラスパイレス指数は物価の上昇を過大評価しやすく、パーシェ指数は逆に過小評価しやすい傾向があります。これらのバランスを取るために、フィッシャー指数が利用されます。
2. フィッシャー指数の計算方法
フィッシャー指数 \(F\) は、ラスパイレス指数 \(L\) とパーシェ指数 \(P\) の幾何平均として計算されます。
\[ F = \sqrt{L \times P} \]
2.1. ラスパイレス指数
ラスパイレス指数は、以下の式で計算されます。
\[ L = \frac{\displaystyle\sum^n_{i=1} (p_{ti} \cdot q_{0i})}{\displaystyle\sum^n_{i=1} (p_{0i} \cdot q_{0i})} \]
ここで、
- \( P_P \) : パーシェ指数
- \( p_{ti} \) : 基準年(過去)と比較する現在の価格
- \( p_{0i} \) : 基準年の価格
- \( q_{0i}\) : 基準年のウェイト
2.2. パーシェ指数
パーシェ指数は、以下の式で計算されます。
\[ P = \frac{\displaystyle\sum^n_{i=1} (p_{ti} \cdot q_{ti})}{\displaystyle\sum^n_{i=1} (p_{0i} \cdot q_{ti})} \]
- \( P_P \) : パーシェ指数
- \( p_{ti} \) : 基準年(過去)と比較する現在の価格
- \( p_{0i} \) : 基準年の価格
- \( q_{ti}\) : 現在の数量(ウェイト)
3. かつおとサーモンの計算例
ある市場で、かつおとサーモンの価格と消費量のデータが以下のように与えられています。
魚の種類 | 基準年の価格 (円/kg) | 基準年の数量 (kg) | 現在年の価格 (円/kg) | 現在年の数量 (kg) |
---|---|---|---|---|
かつお | 1000 | 50 | 1200 | 40 |
サーモン | 2000 | 30 | 2500 | 25 |
このデータをもとに、フィッシャー物価指数を求めてみましょう。
3.1. (1) ラスパイレス指数の計算
\[ L = \frac{(1200 \times 50) + (2500 \times 30)}{(1000 \times 50) + (2000 \times 30)} \]
\[ = \frac{(60000) + (75000)}{(50000) + (60000)} \]
\[ = \frac{135000}{110000} = 1.227 \]
3.2. (2) パーシェ指数の計算
\[ P = \frac{(1200 \times 40) + (2500 \times 25)}{(1000 \times 40) + (2000 \times 25)} \]
\[ = \frac{(48000) + (62500)}{(40000) + (50000)} \]
\[ = \frac{110500}{90000} = 1.228 \]
3.3. (3) フィッシャー指数の計算
\[ F = \sqrt{1.227 \times 1.228} \]
\[ = \sqrt{1.507} = 1.227 \]