更新:2024/11/24

最大公約数と最小公倍数とは?関係式と求め方について

ふゅか
ふゅか
最大公約数と最小公倍数の違い、説明できる?
はるか
はるか
最大公約数は、最大の共通の約数。最小公倍数は、最小の共通の倍数。

1. 最大公約数 (GCD)

1.1. 公約数とは

公約数とは、2つ以上の整数に共通する約数のことを指します。

12と18の公約数を考えてみましょう。

  • 12の約数: 1, 2, 3, 4, 6, 12
  • 18の約数: 1, 2, 3, 6, 9, 18

12と18に共通する約数は1、2、3、6です。これが公約数です。

1.2. 最大公約数とは

最大公約数は、2つまたはそれ以上の整数の中で、共通する最大の約数を指します。

  • 最大公約数・・・GCDとも呼ばれます。英語で、Greatest Common Divisor
  • gcd(a,b)・・・a,bの最大公約数を意味します。

例えば、36と48の最大公約数を求める場合、両方の約数は次のようになります。

  • 36の約数:1, 2, 3, 4, 6, 9, 12, 18, 36
  • 48の約数:1, 2, 3, 4, 6, 8, 12, 16, 24, 48

これらの中で共通している最大の約数は12です。したがって、36と48の最大公約数は12です。

2. 最小公倍数

2.1. 公倍数とは

公倍数とは、2つ以上の整数に共通する倍数のことを指します。

12と18の公倍数を考えてみましょう。

  • 12の倍数: 12, 24, 36, 48, 60, 72, 84, 96, …
  • 18の倍数: 18, 36, 54, 72, 90, 108, …

12と18に共通する倍数は36、72、108、…と続きます。これが公倍数です。

2.2. 最小公倍数 (lcm)

最小公倍数は、2つまたはそれ以上の整数の中で、共通する最小の倍数を指します。

  • 最小公倍数・・・LCMとも呼ばれます。英語で、least common multiple。
  • lcm(a,b)・・・a,bの最小公倍数を意味します。

例えば、36と48の最小公倍数を求める場合、両方の数の倍数を確認します。

  • 36の倍数:36, 72, 108, 144, 180, …
  • 48の倍数:48, 96, 144, 192, …

共通する最小の倍数は144です。したがって、36と48の最小公倍数は144です。

3. 最大公約数と最小公倍数の性質

はるか
はるか
次は、最大公約数と最小公倍数の関係式。
ふゅか
ふゅか
ああ、あれね!GCDとLCMを掛け合わせると、元の数同士の積になるやつね!

3.1. 最大公約数と最小公倍数の関係式1

最大公約数と最小公倍数は次の関係式が成り立ちます。

\[ \text{gcd}(a, b) \times \text{lcm}(a, b) = a \times b \]

自然数 \(a\) と \(b\) を素因数分解してみましょう。

\(a\) を次のように表します。

\[ a = p_1^{e_1} \times p_2^{e_2} \times \cdots \times p_k^{e_k} \]

\(b\) を次のように表します。

\[ b = p_1^{f_1} \times p_2^{f_2} \times \cdots \times p_k^{f_k} \]

ここで、\(p_1, p_2, \dots, p_k\) は素数、\(e_i\) と \(f_i\) はそれぞれの指数です。もしある素数 \(p_i\) が片方にしか含まれない場合、その指数は0として考えます。

\(a\) と \(b\) の最大公約数は、それぞれの素因数の最小の指数で表されます。すなわち、次の式で表されます。

\[ \text{gcd}(a, b) = p_1^{\min(e_1, f_1)} \times p_2^{\min(e_2, f_2)} \times \cdots \times p_k^{\min(e_k, f_k)} \]

ここで、$min(e_i,f_i)$は$e_i$と$f_i$のどちらかの小さい値を選択する関数です。

同様に、最小公倍数は、それぞれの素因数の最大の指数で表されます。すなわち、次の式で表されます。

\[ \text{lcm}(a, b) = p_1^{\max(e_1, f_1)} \times p_2^{\max(e_2, f_2)} \times \cdots \times p_k^{\max(e_k, f_k)} \]

ここで、$max(e_i,f_i)$は$e_i$と$f_i$のどちらかの大きい値を選択する関数です。

\( \text{gcd}(a, b) \times \text{lcm}(a, b) \) の計算をしてみます。

\[ \text{gcd}(a, b) \times \text{lcm}(a, b) = \left( p_1^{\min(e_1, f_1)} \times p_2^{\min(e_2, f_2)} \times \cdots \times p_k^{\min(e_k, f_k)} \right) \times \left( p_1^{\max(e_1, f_1)} \times p_2^{\max(e_2, f_2)} \times \cdots \times p_k^{\max(e_k, f_k)} \right) \]

これは、素因数ごとに次のように計算できます。

\[ p_1^{\min(e_1, f_1) + \max(e_1, f_1)} \times p_2^{\min(e_2, f_2) + \max(e_2, f_2)} \times \cdots \times p_k^{\min(e_k, f_k) + \max(e_k, f_k)} \]

ここで、次の性質を利用します。

\[ \min(e_i, f_i) + \max(e_i, f_i) = e_i + f_i \]

この式の意味は単に、2つの値のうち小さい方と大きい方 をそれぞれ選んで足すと、結局その2つの元の値を足した結果と同じになる、ということです。

したがって、上記の式は次のようになります。

\[ p_1^{e_1 + f_1} \times p_2^{e_2 + f_2} \times \cdots \times p_k^{e_k + f_k} \]

これは、 \(a \times b\) を素因数分解した形です。したがって、次の関係が成り立ちます。

\[ \text{gcd}(a, b) \times \text{lcm}(a, b) = a \times b \]


例えば、36と48の場合、次のように確認できます。

\[ 12 \times 144 = 36 \times 48 \]

この関係は常に成り立ちます。

3.2. 最大公約数と最小公倍数の関係式2

$a=\text{gcd}(a, b)a’$と$b=\text{gcd}(a, b)b’$としたとき、次の関係式が成り立つ。

\[ \text{lcm}(a, b) = \text{gcd}(a, b) \times a’ \times b’ \]

ここで、$a’$と$b’ $は互いに素である。

最大公約数と最小公倍数には、先ほど示したように、次の関係式が成り立ちます。

\[ \text{lcm}(a, b) \times \text{gcd}(a, b) = a \times b \]

この関係を用いることで、次のように式を変形できます。

\[\begin{align*} \frac{\text{lcm}(a, b) \times \text{gcd}(a, b)}{\text{gcd}(a, b)}& = \frac{a \times b}{\text{gcd}(a, b)} \\ &=\frac{a \times b}{\text{gcd}(a, b)} \\ &=\text{gcd}(a, b)\frac{a \times b}{\text{gcd}(a, b)\times \text{gcd}(a, b)} \end{align*}\]

ここで、\( a’ = \frac{a}{\text{gcd}(a,b)} \) および \( b’ = \frac{b}{\text{gcd}(a,b)} \) ですから、

\[ \text{lcm}(a, b) = \text{gcd}(a, b) \times a’ \times b’ \]

4. 例題

48と54の最大公約数と最小公倍数を求めなさい。

次の図のように、まずは公約数で割っていきます。青色で示された部分は、数値同士が互いに素(公約数が1しかない状態)になるまで割り続けます。そして、これ以上公約数で割ることができなくなった段階で、緑色の部分に残った積が最大公約数となります。一方で、この緑色の部分にある積が最大公約数であることに加えて、青色の互いに素である部分の積と掛け合わせると、

$$\text{lcm}(a, b) = \text{gcd}(a, b) \times a’ \times b’$$

になるので、最小公倍数になります。したがって、

$最大公約数=6$

$最小公倍数=6\times 72 = 432$

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