ヒット率とは?ゆるーくわかりやすく解説



1. ヒット率(Hit Ratio)とは?
ヒット率(Hit Ratio)とは、コンピュータのキャッシュメモリで、必要なデータが直接見つかる確率または割合を指します。キャッシュメモリは、CPUがデータを素早く利用するために用意された高速なメモリです。


2. ヒット率の基本的な考え方
キャッシュメモリは、CPUがデータを扱う際に、まずはじめにデータがキャッシュ内にあるかどうかを確認します。この際の結果は次の2つに分かれます。
2.1. ヒット(Hit)
必要なデータがキャッシュメモリ内に存在する場合。
2.2. ミス(Miss)
必要なデータがキャッシュメモリ内に存在しない場合。この場合、CPUはメインメモリなど、より低速なデバイスからデータを取得する必要があります。
3. ヒット率の計算方法
ヒット率は、次の式で計算されます。
$$\text{ヒット率} = \frac{\text{キャッシュ内で見つかったデータ数}}{\text{全データアクセス数}}$$
例えば、100回データアクセスを行い、そのうち80回キャッシュでデータが見つかった場合、ヒット率は次のようになります:
$$\text{ヒット率} = \frac{80}{100} = 0.8 = 80%$$
4. ヒット率と実行アクセス時間
4.1. 実行アクセス時間
実行アクセス時間(Effective Access Time, EAT)とは、コンピュータシステムにおいて、必要なデータにアクセスし、そのデータを取得するのにかかる平均的な時間(期待値)を指します。この指標は、キャッシュメモリやメインメモリを持つシステムのパフォーマンスを評価する際に非常に重要です。

4.2. 実行アクセス時間の計算式
実行アクセス時間は、次の式で表されます。
$$\text{実行アクセス時間}=(\text{ヒット率} \times \text{キャッシュのアクセス時間}) + (\text{キャッシュのミス率} \times \text{メインメモリのアクセス時間})$$
ここで、
- ヒット率 = データがキャッシュ内に見つかる確率
- キャッシュのミス率 (NFP)= 1−ヒット率
- キャッシュのアクセス時間 = キャッシュメモリの平均応答時間
- メインメモリのアクセス時間 = メインメモリからデータを取得する平均時間
4.3. 計算例
例えば、以下の条件を考えます。
- キャッシュのアクセス時間:10ナノ秒
- メインメモリのアクセス時間:100ナノ秒
- キャッシュのヒット率:90%(0.9)
計算すると、
$$\text{実行アクセス時間} = (0.9 \times 10) + (0.1 \times 100)= 9 + 10 = 19 \text{ナノ秒}$$
この場合、キャッシュがない場合(100ナノ秒)に比べ、実行アクセス時間が大幅に短縮されていることがわかります。