更新:2024/09/18

含意の具体例・真理値表・論理式・例題について

はるか
はるか
$P \rightarrow Q$…なんだこれ。初めて見た
ふゅか
ふゅか
これはね、含意(imply)と呼ばれるものね!

1. 含意とは

含意は「\(P \rightarrow Q\)」で表されます。「含意」とは、命題間の関係を示す論理的な結合詞で、「もし \(P\) ならば \(Q\)」という形で表されます。ここで、\(P\) と \(Q\) はそれぞれ命題です。

1.1. 真理値表

含意 \(P \rightarrow Q\) の真理値表は次のようになります。

\(P\) \(Q\) \(P \rightarrow Q\)
真 (T) 真 (T) 真 (T)
真 (T) 偽 (F) 偽 (F)
偽 (F) 真 (T) 真 (T)
偽 (F) 偽 (F) 真 (T)
  • \(P\) が真で、\(Q\) も真である場合、\(P \rightarrow Q\) は真です。
  • \(P\) が真で、\(Q\) が偽である場合、\(P \rightarrow Q\) は偽です。
  • \(P\) が偽の場合、\(Q\) が真か偽かに関わらず、\(P \rightarrow Q\) は常に真です。
この最後のケース(前提 \(P\) が偽の場合、結論 \(Q\) の真偽に関わらず含意が真であること)が直感的に理解しにくいかもしれません。
はるか
はるか
前提が違うとその後の論理式の真偽はどうでもいいのか。

2. 日常に当てはめる

含意 \(P \rightarrow Q\) を電子レンジに例えて考えてみましょう。

  • P: 「電子レンジのスイッチを押す」
  • Q: 「電子レンジが動作する」

含意 \(P \rightarrow Q\) は、「電子レンジのスイッチを押せば、電子レンジが動作する」という命題です。

2.1. P が真で、Q も真の場合

  • P: スイッチを押した。
  • Q: 電子レンジが動作した。

スイッチを押したら電子レンジが動作するので、この含意は真です。

2.2. P が真で、Q が偽の場合

  • P: スイッチを押した。
  • Q: 電子レンジが動作しなかった。

スイッチを押したのに電子レンジが動作しないなら、電子レンジが壊れているか、電源が入っていないかもしれません。この場合、含意は偽です。

2.3. P が偽で、Q が真の場合

  • P: スイッチを押さなかった。
  • Q: 電子レンジが動作した。

スイッチを押さなかったのに電子レンジが動作したなら、それは例えばタイマーで自動的に動作したなど、別の要因があるかもしれません。「スイッチを押していない」が前提なので、結果に関係なく命題は真です。

2.4. P が偽で、Q も偽の場合

  • P: スイッチを押さなかった。
  • Q: 電子レンジが動作しなかった。

スイッチを押さなかったので、電子レンジが動作しないのは当然です。この場合、含意は真です。

3. 含意の変換

含意 \( P \rightarrow Q \) が \( \neg P \vee Q \)論理的に同値であることを利用して変換することができます。

ふゅか
ふゅか
実際に試してみよう!

論理式 \( (A \rightarrow B) \wedge (B \rightarrow C) \) を変換します。

まず、各含意 \( A \rightarrow B \) と \( B \rightarrow C \) を変換します。 \[ A \rightarrow B \equiv \neg A \vee B \] \[ B \rightarrow C \equiv \neg B \vee C \]

したがって、次のように変換することができます。 \[(A \rightarrow B) \wedge (B \rightarrow C)  \equiv (\neg A \vee B) \wedge (\neg B \vee C) \]

3.1. 含意 \( P \rightarrow Q \) の変換

まず、含意 \( P \rightarrow Q \) が \( \neg P \vee Q \) に等しいことを確認します。

3.2.  \( \neg P \vee Q \)の真理値表

\( P \) \( Q \) \( P \rightarrow Q \) \( \neg P \) \( \neg P \vee Q \)
T T T F T
T F F F F
F T T T T
F F T T T

4. 含意を変換する例題

ふゅか
ふゅか
実際に含意を変換してみよう!

4.1. 問題1

次の論理式 \( (A \rightarrow B) \land (C \rightarrow D) \)から含意を変換しなさい。

含意 \( A \rightarrow B \) は \( \neg A \lor B \) と論理的に同値です。同様に、\( C \rightarrow D \) は \( \neg C \lor D \) と論理的に同値です。したがって、元の論理式は次のように書き換えられます。

\[ (A \rightarrow B) \land (C \rightarrow D) \equiv (\neg A \lor B) \land (\neg C \lor D) \]

4.2. 問題2

論理式 \( P \rightarrow (Q \land R) \) の含意を変換しなさい。

\( P \rightarrow (Q \land R) \) は \( \neg P \lor (Q \land R) \) と論理的に同値です。

\[ P \rightarrow (Q \land R) \equiv \neg P \lor (Q \land R) \]

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