含意の具体例・真理値表・論理式・例題について



1. 含意とは
1.1. 真理値表
含意 \(P \rightarrow Q\) の真理値表は次のようになります。
\(P\) | \(Q\) | \(P \rightarrow Q\) |
---|---|---|
真 (T) | 真 (T) | 真 (T) |
真 (T) | 偽 (F) | 偽 (F) |
偽 (F) | 真 (T) | 真 (T) |
偽 (F) | 偽 (F) | 真 (T) |
- \(P\) が真で、\(Q\) も真である場合、\(P \rightarrow Q\) は真です。
- \(P\) が真で、\(Q\) が偽である場合、\(P \rightarrow Q\) は偽です。
- \(P\) が偽の場合、\(Q\) が真か偽かに関わらず、\(P \rightarrow Q\) は常に真です。

2. 日常に当てはめる
含意 \(P \rightarrow Q\) を電子レンジに例えて考えてみましょう。
- P: 「電子レンジのスイッチを押す」
- Q: 「電子レンジが動作する」
含意 \(P \rightarrow Q\) は、「電子レンジのスイッチを押せば、電子レンジが動作する」という命題です。
2.1. P が真で、Q も真の場合
- P: スイッチを押した。
- Q: 電子レンジが動作した。
スイッチを押したら電子レンジが動作するので、この含意は真です。
2.2. P が真で、Q が偽の場合
- P: スイッチを押した。
- Q: 電子レンジが動作しなかった。
スイッチを押したのに電子レンジが動作しないなら、電子レンジが壊れているか、電源が入っていないかもしれません。この場合、含意は偽です。
2.3. P が偽で、Q が真の場合
- P: スイッチを押さなかった。
- Q: 電子レンジが動作した。
スイッチを押さなかったのに電子レンジが動作したなら、それは例えばタイマーで自動的に動作したなど、別の要因があるかもしれません。「スイッチを押していない」が前提なので、結果に関係なく命題は真です。
2.4. P が偽で、Q も偽の場合
- P: スイッチを押さなかった。
- Q: 電子レンジが動作しなかった。
スイッチを押さなかったので、電子レンジが動作しないのは当然です。この場合、含意は真です。
3. 含意の変換
含意 \( P \rightarrow Q \) が \( \neg P \vee Q \)論理的に同値であることを利用して変換することができます。

論理式 \( (A \rightarrow B) \wedge (B \rightarrow C) \) を変換します。
まず、各含意 \( A \rightarrow B \) と \( B \rightarrow C \) を変換します。 \[ A \rightarrow B \equiv \neg A \vee B \] \[ B \rightarrow C \equiv \neg B \vee C \]
したがって、次のように変換することができます。 \[(A \rightarrow B) \wedge (B \rightarrow C) \equiv (\neg A \vee B) \wedge (\neg B \vee C) \]
3.1. 含意 \( P \rightarrow Q \) の変換
まず、含意 \( P \rightarrow Q \) が \( \neg P \vee Q \) に等しいことを確認します。
3.2. \( \neg P \vee Q \)の真理値表
\( P \) | \( Q \) | \( P \rightarrow Q \) | \( \neg P \) | \( \neg P \vee Q \) |
---|---|---|---|---|
T | T | T | F | T |
T | F | F | F | F |
F | T | T | T | T |
F | F | T | T | T |
4. 含意を変換する例題

4.1. 問題1
含意 \( A \rightarrow B \) は \( \neg A \lor B \) と論理的に同値です。同様に、\( C \rightarrow D \) は \( \neg C \lor D \) と論理的に同値です。したがって、元の論理式は次のように書き換えられます。
\[ (A \rightarrow B) \land (C \rightarrow D) \equiv (\neg A \lor B) \land (\neg C \lor D) \]
4.2. 問題2
\( P \rightarrow (Q \land R) \) は \( \neg P \lor (Q \land R) \) と論理的に同値です。
\[ P \rightarrow (Q \land R) \equiv \neg P \lor (Q \land R) \]