更新:2024/11/24

無限等比級数の公式と証明、例題について

はるか
はるか
無限等比級数って、無限に等比級数の項を足していく。
ふゅか
ふゅか
そうそう!けど、条件があって…$|r|<1$じゃないとね。

1. 無限等比級数とは

まず、等比数列とは何かをおさらいしましょう。等比数列は、初項から始まり、各項が一定の数(公比)をかけて得られる数列のことです。

例: $$ 2,\ 4,\ 8,\ 16,\ 32,\ \ldots $$ この数列では、各項が前の項に公比 $r = 2$ をかけて得られています。

無限等比級数は、この等比数列の項を無限に足し合わせたものです。

2. 無限等比級数の公式

無限等比級数を求める公式は、次の条件を満たすときに使えます。

公比の絶対値が1より小さい($|r| < 1$)とき、無限等比級数 $S$ は以下の公式で求められます。

$$ S = \frac{a}{1 – r} $$

  • $a$:初項
  • $r$:公比

2.1. 具体例

例1:公比が $\frac{1}{2}$ の場合

等比数列: $$ 1,\ \frac{1}{2},\ \frac{1}{4},\ \frac{1}{8},\ \ldots $$ ここで、初項 $a = 1$、公比 $r = \frac{1}{2}$ です。

公式に当てはめると、 $$ S = \frac{1}{1 – \frac{1}{2}} = \frac{1}{\frac{1}{2}} = 2 $$ したがって、この無限等比級数は 2 になります。

例2:公比が $-\frac{1}{3}$ の場合

等比数列: $$ 3,\ -1,\ \frac{1}{3},\ -\frac{1}{9},\ \ldots $$ 初項 $a = 3$、公比 $r = -\frac{1}{3}$ です。

公式に当てはめると、

$$ S = \frac{3}{1 – (-\frac{1}{3})} = \frac{3}{1 + \frac{1}{3}} = \frac{3}{\frac{4}{3}} = \frac{9}{4} $$

この場合、無限等比級数は $\frac{9}{4}$ となります。

3. 無限等比級数の公式の証明

ふゅか
ふゅか
じゃあ、次は無限等比級数の証明を見てみようか!部分和を考えるところがポイントだよ〜

3.1. 無限等比級数の公式の証明

無限等比級数を求める公式 \( S = \dfrac{a}{1 – r} \) を証明してみましょう。ただし、公比 \( r \) の絶対値が1未満(\( |r| < 1 \))とします。

3.2. 部分和の計算

無限級数を直接求めるのは難しいので、まず最初の \( N \) 項までの部分和 \( S_n \) を考えます。

\[ S_n = a_1 + a_2 + a_3 + \dots + a_n = a + ar + ar^2 + \dots + ar^{n-1} \]

等比数列の和の公式より

\[ S_n = \dfrac{a (1 – r^n)}{1 – r} \]

\( n \) を無限大に近づけます(\( n \to \infty \))。\( |r| < 1 \) の場合、\( r^n \) が \( n \to \infty \) のときに0に収束するので、

\[ \lim_{n \to \infty} S_n = \lim_{n \to \infty} \dfrac{a (1 – r^n)}{1 – r} = \dfrac{a (1 – 0)}{1 – r} = \dfrac{a}{1 – r} \]

3.3. \( |r| \geq 1 \) の場合(発散)

\( |r| < 1 \)の場合には無限等比級数は収束しましたが、$|r| \geq 1$の場合にはどのようになるのでしょうか。

\( r = 1 \) の場合

\[ S_N = \dfrac{a (1 – 1^N)}{1 – 1} = \dfrac{0}{0}\]

不定形になるので別途考える必要があります。実際には

\[ S_n = a + a + a + \dots + a = an \]

\( n \to \infty \) で \( S_n \to \infty \) となり、発散します。

\( r = -1 \) の場合

部分和は

\[ S_n = \dfrac{a (1 – (-1)^n)}{1 – (-1)} = \dfrac{a (1 – (-1)^n)}{2} \]

\( N \) が奇数か偶数かで値が変わり、一定の値に収束しません。

$|r| > 1$の場合

$|r| > 1$の場合$r^n$が発散してしまうので、部分和も発散する。

4. 無限等比級数の例題

4.1. 例題1

次の無限等比級数 \( S \) を求めなさい。

\[ S = 2 – \frac{2}{3} + \frac{2}{9} – \frac{2}{27} + \cdots \]

この無限等比級数の初項は \( a = 2 \)、公比は \( r = -\frac{1}{3} \) です。

無限等比級数の公式より、

\[ S = \frac{2}{1 – (-\frac{1}{3})} = \frac{2}{1 + \frac{1}{3}} = \frac{2}{\frac{4}{3}} = 2 \times \frac{3}{4} = \frac{6}{4} = \frac{3}{2} \]

したがって、この無限等比級数は \( S = \frac{3}{2} \) です。

4.2. 例題2

次の無限等比級数 \( S \) を求めなさい。

\[ S = 5 – \frac{5}{4} + \frac{5}{16} – \frac{5}{64} + \cdots \]

この無限等比級数の初項は \( a = 5 \)、公比は \( r = -\frac{1}{4} \) です。

無限等比級数の公式より、

\[ S = \frac{5}{1 – (-\frac{1}{4})} = \frac{5}{1 + \frac{1}{4}} = \frac{5}{\frac{5}{4}} = 5 \times \frac{4}{5} = 4 \]

したがって、この無限等比級数は \( S = 4 \) です。

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