ジュコフスキー変換w=z+a^2/zと例題について



「どうして飛行機の翼はあの形をしているんだろう?」
実は、数学のある変換を使えば、シンプルな円を翼のような形に変えることができます。それが ジューコフスキー変換 です。
この変換を使うことで、円を翼型に変形し、空気の流れを解析することができます。流体力学や航空工学で重要な役割を果たすこの変換の仕組みを、例題を交えてわかりやすく解説していきます。
1. ジューコフスキー変換
\[ w = z + \frac{a^2}{z} \]
ここで、\(z\) は複素平面上の元であり、\(w\) は変換後の複素平面上の元です。この変換は、複素数 \(z\) を別の複素数 \(w\) に写像します。
ジューコフスキー変換は、流体力学や航空工学で重要な役割を果たす等角写像の一つで、翼型などの解析に使用されます。
2. ジューコフスキー変換の例題
複素数$z$が原点を中心に半径$r$の円を描くとき、
\[ w = z + \frac{a^2}{z} \]
を満たすときの$w$が描く図形を求めなさい。ただし、$r$は$a$以上かつ$a>0$であるとする。
複素数 \( z \) が半径 \( r \) の円を描くとき、\( z \) は次のように表されます。
$$z=r(\cos\theta+i\sin\theta)$$
したがって、
\[ w = r(\cos \theta + i \sin \theta) + \frac{a^2}{r}(\cos \theta – i \sin \theta) \]
これを展開すると、
\[ w = \left( r + \frac{a^2}{r} \right) \cos \theta + i \left( r – \frac{a^2}{r} \right) \sin \theta \]
ここで、$w = x + i y$と置くと、
\[ x = \left( r + \frac{a^2}{r} \right) \cos \theta , \quad y = \left( r – \frac{a^2}{r} \right) \sin \theta \]
となる。
ここで次の二つの場合分けを行う。
- $r=a$のときの複素数の軌跡
- $r> a$のときの複素数の軌跡
[1]$r=a$のとき、
\[ x = 2a \cos \theta , \quad y = 0 \]
したがって、$-2a \geq x \geq 2a$となるので、$w$は$-2a$と$2a$を結ぶ線分の軌跡を描く。
[2]$r>a$のとき、$\cos\theta$と$\sin\theta$は次のように表すことができる。
$$\cos\theta =\frac{x}{ \left( r + \frac{a^2}{r} \right)} , \quad \sin \theta = \frac{y}{ \left( r – \frac{a^2}{r} \right)}$$
ここで、$\cos^2 \theta + \sin^2 \theta = 1$ より、$w$ は次のような楕円を描きます。
\[ \left( \frac{x}{r + \frac{a^2}{r}} \right)^2 + \left( \frac{y}{r – \frac{a^2}{r}} \right)^2 = 1 \]