更新:2024/09/20

NAND回路と論理式・回路の構成について

ふゅか
ふゅか
NANDゲートってデジタル回路の基本だよね。どうしてそんなに重要なの?
はるか
はるか
完全系だから。他のゲート全部作れる。

1. NAND回路

NAND回路は、デジタル回路の基本的な論理ゲートの一つで、名前の通り「NOT AND」の略です。ANDゲートの出力を否定したものがNANDゲートです。つまり、ANDゲートの出力が1であれば、NANDゲートの出力は0となり、ANDゲートの出力が0であれば、NANDゲートの出力は1となります。

1.1. 真理値表

NANDゲートの真理値表は次の通りです。

入力A 入力B 出力 (Y)
0 0 1
0 1 1
1 0 1
1 1 0
ふゅか
ふゅか
真理値表を見て思ったんだけど、NANDゲートの出力は1が多いよね。どうしてだろう?
はるか
はるか
ANDの逆だから。ANDが1なら、NANDは0。それ以外は1。

1.2. 論理関数の表記

AとBを入力として、Yを出力するNANDゲートの論理式は次のように表されます。

$$Y=\overline{A\cdot B} = \overline A + \overline B$$

1.3. MIL記号

NANDは、MIL記号で次のように表されます。

1.4. 回路図

$Y=\overline{A\cdot B} $より、NANDゲートをANDNOTで構成すると次のような回路になります。

一方で、$Y= \overline A + \overline B$より、NANDゲートをNOTORで構成すると次のような回路になります。

1.5. NANDゲートの特性

NANDゲートは完全系とも呼ばれ、組み合わせによって他の全ての基本的な論理ゲート(ANDORNOT、NOR、XOR、XNOR)を構成することができます。これにより、デジタル回路をNANDゲートだけで構築することも可能です。

2. NANDによる回路の構成

ふゅか
ふゅか
ところで、NANDゲートだけで他の論理ゲートも作れるんでしょ?
はるか
はるか
うん。実際に作ってみる。

2.1. NOT

NOTの論理式$Y=\overline{A}$より、

$$Y=\overline {A\cdot A}$$

したがって、回路を書くと次のようになります。

2.2. AND

AND回路は以下の式で表されます。

$$Y=A\cdot B$$

\[ Y = \overline{\overline{A \cdot B}} \]

したがって、回路を書くと次のようになります。

2.3. OR

OR回路の基本的な論理式は次のように表されます。

$$Y = A + B$$

$$Y = (\overline{\overline{A}}) + (\overline{\overline{B}})$$

$$Y = \overline{(\overline{A}) \cdot (\overline{B})}$$

$$Y = \overline{(\overline{A \cdot A}) \cdot (\overline{B \cdot B})}$$

したがって、回路を書くと次のようになります。

2.4. NOR

NOR回路の基本的な論理式は次のように表されます。

$$Y =\overline{ A + B}=\overline A \cdot \overline B = \overline{\overline{\overline A \cdot \overline B}}$$

したがって、回路を書くと次のようになります。

2.5. XOR

XOR回路の基本的な論理式は次のように表されます。

\[ Y = A \cdot \overline{B} + \overline{A} \cdot B \]

\[ =A\cdot\overline A+ A \cdot \overline{B} + \overline{A} \cdot B +B\cdot \overline B \]

\[ = A \cdot (\overline{A} + \overline{B}) + (\overline{A} + \overline{B}) \cdot B \]

\[ = A \cdot \overline {A\cdot B} + B\cdot\overline {A\cdot B} \]

$$=\overline{\overline{A \cdot \overline {A\cdot B} + B\cdot \overline {A\cdot B}}}$$

$$=\overline{\overline{A \cdot \overline {A\cdot B} }\cdot \overline{ B\cdot \overline {A\cdot B}}}$$

したがって、回路を書くと次のようになります。

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