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更新:2024/09/23

ロジスティック写像の性質・漸化式について

ロジスティック写像の性質・漸化式について
はるか
はるか
ロジスティック写像、複雑だね。特にrの値が変わると動きが全然違う。
ふゅか
ふゅか
うん、そうだね!パラメータのr次第で、一定の値に収束したり、カオスみたいに予測できなくなったりするんだよね。面白い!

1. ロジスティック写像

ロジスティック写像は単純なモデルでありながら、非常に複雑で多様な動作を示すため、カオス理論や数理生態学、人口動態学などの研究においてしばしば用いられます。関数$f(x) = rx(1-x)$をロジスティック写像という。

ロジスティック写像に対応する漸化式

\[ x_{n+1} = r x_n (1 - x_n) \]

となる。

関数$f(x) = rx(1-x)$を1<r<4の範囲でプロットすると次のようになります。

2. ロジスティック写像の性質

2.1. 代表的な振る舞い

ロジスティック写像は、初期状態 \( x_0 \) とパラメータ \( r \) に依存して、漸化式の振る舞いが大きく変わります。特に、パラメータ \( r \) の値によって振る舞いが定常状態、周期的、あるいはカオス的(乱雑で予測不可能)になることが知られています。

  • \( 0 < r < 1 \): 漸化式はゼロに収束します。
  • \( 1 < r < 3 \): 漸化式は特定の値に収束します。
  • \( 3 < r < 3.44 \cdots\): 漸化式は周期的な振る舞いを示します。周期が増加するにつれて複雑さが増します。

2.2. 三角関数との関連

パラメータ \( r = 4 \)、初期値を \( x_1= \sin^2 \theta \)としたとき、一般項は次のようになる。

$$x_n = \sin^2 (2^{n-1}\theta )$$

ロジスティック写像でパラメータ \( r = 4 \) の場合、初期値を \( x_1= \sin^2 \theta \) と置くと、次のように振る舞います。

\[ x_{n+1} = 4 x_n (1 - x_n) \]

これに \( x_1 = \sin^2 \theta \) を代入します。

最初のステップでは、\( x_1 \) を計算します。

\[ x_2 = 4  \sin^2 \theta (1 - \sin^2 \theta) \]

ここで \( 1 - \sin^2 \theta = \cos^2 \theta \) より、

\[ x_2 = 4  \sin^2 \theta \cos^2 \theta = \sin^2 2\theta \]

次に、\( x_3 \) を計算します。

\[ x_3 = 4  \sin^2 2\theta \cos^2 2\theta = \sin^2 4\theta \]

はるか
はるか
$\sin^2 (2^{n-1}\theta )$とロジスティック写像の形を推測。
ふゅか
ふゅか
数学的帰納法で示してみよう!

まず、\( n = 1 \) の場合を確認します。初項は$ \sin^2 \theta$であるから、

$$ x_1 = \sin^2 (2^0 \theta) = \sin^2 \theta $$

なので、成り立ちます。

次に、$n=k$のとき、

\[ x_k = \sin^2 (2^{k-1} \theta) \]

と仮定します。

\( n = k + 1 \) のとき、 \( x_{k+1} \) を計算します。

\[ x_{k+1} = 4  x_k (1 - x_k) \]

です。ここで、仮定より、

\[ x_{k+1} = 4 \sin^2 (2^{k-1} \theta)  (1 - \sin^2 (2^{k-1} \theta)) \]

ここで、\( 1 - \sin^2 (2^{k-1} \theta) = \cos^2 (2^{k-1} \theta) \) であるため、

\[ x_{k+1} = 4  \sin^2 (2^{k-1} \theta) \cdot \cos^2 (2^{k-1} \theta) \]

これを2倍角の公式より、

\[ x_{k+1} = \sin^2 (2 \cdot 2^{k-1} \theta) = \sin^2 (2^{k} \theta) \]

したがって、

\[ x_{k+1} = \sin^2 (2^{k} \theta) \]

となり、\( x_{k+1} \) もまた \( \sin^2 (2^{k} \theta) \) の形で表されることが示されました。

数学的帰納法により、任意の自然数 \( n \) に対して \( x_n = \sin^2 (2^{n-1} \theta) \) が成り立つことが証明されました。

ふゅか
ふゅか
$\sin^2 (2^n\theta)$が出てくるなんて、どうして?
はるか
はるか
それは単に結果が2倍角の公式に依存してるから。$\sin^2 \theta$の変形でどんどん角度が増えていく。
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