更新:2024/12/14

読み上げ数列(look-and-say-sequence)の意味と性質について

はるか
はるか
読み上げ数列…数字を「読み上げて」次の数字を作る。

1. 読み上げ数列とは?

読み上げ数列(Look-and-Say Sequence)は、前の項を「読み上げる」ことで次の項を生成する数列です。単純なルールに基づいていますが、深い数学的性質を持ち、多くの興味深い特徴が研究されています。

1.1. 生成方法

  1. 初期値を設定します。例として「1」を使用します。
  2. 各項は、前の項の数字を「連続する同じ数字の数」と「その数字」で読み上げて生成されます。

1.2. 例:

  • 第1項: 1 → 「1個の1」と読み上げ → 11
  • 第2項: 11 → 「2個の1」と読み上げ → 21
  • 第3項: 21 → 「1個の21個の1」と読み上げ → 1211
  • 第4項: 1211 → 「1個の11個の22個の1」と読み上げ → 111221

生成された数列は次のようになります

1, 11, 21, 1211, 111221, 312211, 13112221, 1113213211, 31131211131221, 13211311123113112211, 11131221133112132113212221, 3113112221232112111312211312113211, 1321132132111213122112311311222113111221131221, …

ふゅか
ふゅか
まず、「1」からスタートするのね?これをどうするの?
はるか
はるか
「1個の1」って言う。それで「11」が次の項。
ふゅか
ふゅか
あ、そういうことか!次は?「11」はどうなるの?
はるか
はるか
「2個の1」だから「21」。これを続ける。

2. 読み上げ数列の性質

2.1. 奇数桁と偶数桁

初項以降のそれぞれの項の数字には次のような性質があります。
  • 奇数桁・・・「数字の個数」を表します。
  • 偶数桁・・・「その数字自体」を表します。

2.2. 数字の出現制限

通常、読み上げ数列には 1、2、3 以外の数字は現れません。

0 が現れないことの証明

奇数桁には「数字の個数」が記録されますが、「個数」という性質上、0 は存在しません。例えば、「数字が0個」という状況は発生し得ません。

偶数桁には「実際に存在する数字」が記録されます。この数字は前の項に基づいて生成されるため、偶数桁に0が現れるためには、前の項にも0が含まれていなければなりません。

初項 \(a_1 = 1\) には 0 が含まれていません。

したがって、任意の \(a_n\) に 0 が含まれたと仮定すると、前の項 \(a_{n-1}\) にも 0 が含まれるますが、これは矛盾します。

4~9 が現れないことの証明

奇数桁に 4 以上の数字(例えば 4)が現れたと仮定します。

その場合、前の項 \(a_{n-1}\) に同じ数字が4つ以上連続して出現している必要があります。例えば、「4444」や「55555」のような形です。

しかし、読み上げ数列では、偶数桁に同じ数字が連続することは無く、連続の個数が3以下に限定されます(例えば「11」→「21」、「111」→「31」など)。この性質から、4つ以上連続することはありません。

よって、奇数桁に 4 以上の数字が現れることはありません。

偶数桁についても同様の論理を適用できます。「0が現れない証明」と同様に、偶数桁に現れる数字は前の項の偶数桁に依存しますが、奇数桁に4以上の数字が現れないため、偶数桁に4以上の数字も現れることはありません。

2.3. 桁の長さ

n番目の項の桁数 \( L_n \) に対して以下の関係が成り立ちます。

\[ \lim_{n \to \infty} \frac{L_{n+1}}{L_n} = \lambda \]

ここで、\(\lambda \)は約1.303577269034…となることが知られています。

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