メルセンヌ数とメルセンヌ素数とは?2ⁿ-1の性質や完全数との関連を解説!




数学の世界には、特定の法則に従って生まれる不思議な数が存在します。その中でも 「メルセンヌ数(Mersenne number)」 は、2の累乗から1を引いた形で表される特別な数です。
例えば、次のような数を見てみましょう。
- \( 2^1 – 1 = 1 \)
- \( 2^2 – 1 = 3 \)
- \( 2^3 – 1 = 7 \)
- \( 2^4 – 1 = 15 \)
- \( 2^5 – 1 = 31 \)
このように、2の累乗から1を引いた数には、数学的に興味深い性質が数多く存在します。特に、メルセンヌ数が素数となる場合、それは「メルセンヌ素数(Mersenne prime)」と呼ばれています。
さらに、メルセンヌ素数は「完全数」とも密接な関係を持ち、数論の分野だけでなく、コンピュータ科学や暗号技術の分野でも活用されています。
本記事では、メルセンヌ数の基本的な定義から、メルセンヌ素数の特徴、さらには実用的な応用例までを解説 していきます。数学の面白さを感じながら、その奥深い世界を一緒に探っていきましょう!
1. メルセンヌ数とは?
メルセンヌ数(Mersenne number) とは、以下の形で表される自然数のことです:
\[ M_n = 2^n – 1 \]
ここで、\( n \) は自然数(正の整数)です。例えば、最初のいくつかのメルセンヌ数を計算すると:
- \( M_1 = 2^1 – 1 = 1 \)
- \( M_2 = 2^2 – 1 = 3 \)
- \( M_3 = 2^3 – 1 = 7 \)
- \( M_4 = 2^4 – 1 = 15 \)
- \( M_5 = 2^5 – 1 = 31 \)
このように、2の累乗から1を引いた形の数がメルセンヌ数です。
1.1. メルセンヌ素数
特に、メルセンヌ数が素数(1と自分自身以外に約数を持たない)となる場合を「メルセンヌ素数(Mersenne prime)」 と呼びます。
例えば、
- \( M_2 = 3 \)(素数)
- \( M_3 = 7 \)(素数)
- \( M_5 = 31 \)(素数)
これらはメルセンヌ素数です。一方、\( M_4 = 15 \) は素数ではない(15は 3 × 5 に分解できる)ので、メルセンヌ素数ではありません。

これ、素数になる場合は「メルセンヌ素数」って呼ばれるんだよね?

2. メルセンヌ素数の性質と応用
\( a \) と \( n \) をともに \( 2 \) 以上の整数とする。\( a^n – 1 \) が素数であるならば、\( a = 2 \) 、さらに \( n \) は素数となる。
指数法則を用いると、\( a^n – 1 \) は次のように因数分解できる。
\[ a^n – 1 = (a – 1)(a^{n-1} + a^{n-2} + \dots + 1) \]
ここで、\( a^n – 1 \) が素数であるという仮定より、この積の形になっている二つの因数のうち、一方は 1 でなければならない。和の部分である \( a^{n-1} + a^{n-2} + \dots + 1 \) は 1 より大きいため、必然的に \( a – 1 = 1 \) が成立する。よって \( a = 2 \) となる。
次に、\( n \) が合成数(素数でない)と仮定する。この場合、\( n \) は \( p, q \) という 2 以上の整数を用いて
\[ n = p q \]
と表せる。このとき、メルセンヌ数は次のように因数分解できる。
\[ 2^{pq} – 1 = (2^p – 1)(2^{p(q-1)} + 2^{p(q-2)} + \dots + 1) \]
この二つの因数のうち、\( 2^p – 1 \) は 1 より大きく、また \( 2^{p(q-1)} + 2^{p(q-2)} + \dots + 1 \) も 1 より大きい。したがって、\( 2^{pq} – 1 \) は 1 より大きい二つの因数を持つことになり、素数であるという仮定に矛盾する。
よって、\( n \) は素数である。
以上により、\( a^n – 1 \) が素数であるならば、\( a = 2 \) かつ \( n \) は素数であることが示された。
2.1. 擬似乱数生成
「メルセンヌ・ツイスター」という乱数生成アルゴリズムは、メルセンヌ数の特性を利用しており、疑似乱数を作ることができます。
2.2. 完全数との関連
完全数(自分の正の約数の和が自分自身と等しい数)は、メルセンヌ素数と関連があります。
この性質は詳しくは完全数のページで解説しています。