中点連結定理と逆の証明、ベクトルを利用した証明について



1. 中点連結定理とは
\[ MN /\!/\ BC, \quad MN = \frac{1}{2}BC \]
1.1. 証明
三角形 \( ABC \) の辺 \( AB \) と \( AC \) の中点をそれぞれ \( M \) と \( N \) とします。つまり、次の関係が成り立ちます。
\[ AM = MB, \quad AN = NC \]
したがって、辺の比は
$$AM:AB = AN:AC=1:2$$
共通の角は等しいので、
\[ \angle MAN= \angle BAC \]
2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しいので、$\triangle ABC$と$\triangle AMN$は相似である。
相似の性質により、
$$MN:BC=1:2$$
$$MN=\dfrac{1}{2}BC$$
これにより、線分 \( MN \) の長さは \( BC \) の半分であることが示されました。
また、相似の対応する角が等しいため、
$$\angle AMN = \angle ABC$$
したがって、同位角が等しいので、辺\( MN \) と辺 \( BC \) は平行です。
\[ MN /\!/\ BC \]
2. 中点連結定理の位置ベクトルによる証明
三角形 \(ABC\) の辺 \(AB\) と \(AC\) の中点をそれぞれ \(M\)、\(N\) とします。中点 \(M\)、\(N\) の位置ベクトルは次のように表せます。
\[ \overrightarrow{m} = \frac{\overrightarrow{a} + \overrightarrow{b}}{2}, \quad \overrightarrow{n} = \frac{\overrightarrow{a} + \overrightarrow{c}}{2} \]
線分 \(MN\) のベクトル 線分 \(MN\) のベクトルは、次のように表されます。
\[ \overrightarrow{MN} = \overrightarrow{n} – \overrightarrow{m} = \left( \frac{\overrightarrow{a} + \overrightarrow{c}}{2} \right) – \left( \frac{\overrightarrow{a} + \overrightarrow{b}}{2} \right) = \frac{\overrightarrow{c} – \overrightarrow{b}}{2} \]
線分 \(BC\) のベクトル 一方で、線分 \(BC\) のベクトルは次のように表されます。\[ \overrightarrow{BC} = \overrightarrow{c} – \overrightarrow{b} \]
平行性の確認 ここで、線分 \(MN\) のベクトルが \(BC\) のベクトルのちょうど半分であることがわかります。
\[ \overrightarrow{MN} = \frac{1}{2} \overrightarrow{BC} \]
よって、線分 \(MN\) は線分 \(BC\) と平行であり、長さは \(BC\) の半分であることがわかります。


3. 中点連結定理の逆
が成り立つとき、 \( M \) と \( N \) は三角形 \( ABC \) の辺 \( AB \) と \( AC \) の中点となる。
線分 \( MN \) が \( BC \) に平行であるため、同位角が等しくなります。
\[ \angle AMN = \angle ABC, \quad \angle ANM = \angle ACB \]
2組の角がそれぞれ等しいため、三角形 \( AMN \) と三角形 \( ABC \) は 相似 であることがわかります。相似な三角形において、対応する辺の比が等しくなるため、次の関係式が成り立ちます。
\[AM:AB=AN:AC=MN:BC=1:2\]
これにより、\( AM = \frac{1}{2}AB \)、\( AN = \frac{1}{2}AC \) が成り立ち、点 \( M \) は辺 \( AB \) の中点であり、点 \( N \) は辺 \( AC \) の中点であることがわかる。