【単純・加重・指数】移動平均の種類・特徴・計算問題について



1. 単純移動平均
1.1. 単純移動平均の特徴
単純移動平均は、最も基本的な移動平均の計算方法です。過去のデータの一定期間の平均値を計算して、その期間の終わりに位置する点にプロットします。
- 一定の期間(例えば、5日間)のデータの平均を計算します。
- 次のデータポイントに進むごとに、一番古いデータを外し、新しいデータを追加して、再度平均を計算します。
- 簡単で直感的な計算方法。
単純移動平均の英語・・・Simple Moving Average, SMA
1.2. 計算方法
\[ \text{SMA}_t = \frac{1}{N} \sum_{i=0}^{N-1} P_{t-i} \]
- \( \text{SMA}_t \) は時点 \(t\) における単純移動平均
- \( P_{t-i} \) は時点 \(t-i\) におけるデータポイント(価格など)
- \(N\) は移動平均の期間
2. 加重移動平均


2.1. 加重移動平均の特徴
加重移動平均では、単純移動平均と同様に過去の一定期間のデータを使用しますが、各データポイントに異なる重みを付けます。一般的に、最新のデータに大きな重みを与え、過去のデータには徐々に小さな重みを与えます。
- 重み付け係数(例えば、最新の日には5、次の日には4…)を掛けたデータを合計し、その合計を重みの合計で割ります。
- 最近のデータにより敏感に反応するため、単純移動平均よりもトレンドの変化を早く察知できます。
- 過去のデータに対する影響が減少するため、より直近の動きを反映するのに適しています。
加重移動平均の英語・・・Weighted Moving Average, WMA
2.2. 計算方法
ここで、
- \( \text{WMA}_t \) は時点 \(t\) における加重移動平均
- \( w_i \) は重み付け係数(通常は \(w_1 > w_2 > \dots > w_N\) のように設定されます)
- \( P_{t-i} \) は時点 \(t-i\) におけるデータポイント
- \(N\) は移動平均の期間
3. 指数移動平均


3.1. 指数移動平均の特徴
指数移動平均は、過去のデータに指数的な減衰を与えつつ、最新のデータにより大きな重みを付ける移動平均です。これにより、加重移動平均よりもさらに最近のデータに敏感に反応します。
- 現在の価格に一定の係数を掛け、前回のEMAに1からその係数を引いた値を掛けて加えます。
- 係数(スムージングファクター)は、一般的に \(\frac{2}{N+1}\) で計算され、Nは移動平均の期間です。
- 過去のデータよりも現在のデータに強く反応するため、トレンドの反転や変化を早期に捉えることができます。
指数移動平均の英語・・・Exponential Moving Average, EMA
3.2. 計算方法
\[ \text{EMA}_t = \alpha P_t + (1 - \alpha) \text{EMA}_{t-1} \]
ここで、
- \( \text{EMA}_t \) は時点 \(t\) における指数移動平均
- \( P_t \) は時点 \(t\) におけるデータポイント
- \( \alpha \) はスムージング係数(平滑化係数)で、通常 \(\alpha = \frac{2}{N+1}\) と設定されます
- \( \text{EMA}_{t-1} \) は時点 \(t-1\) における前回のEMA
- \(N\) は移動平均の期間
4. 移動平均の例題
- 1日目: 10
- 2日目: 12
- 3日目: 15
- 4日目: 14
- 5日目: 13
単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均を3日間ごとに求めなさい。
4.1. 単純移動平均
単純移動平均は、指定した期間のデータの平均を求めます。ここでは3日間ごとの移動平均を求めます。
- 1回目 (1~3日目の平均): \( \frac{10 + 12 + 15}{3} = \frac{37}{3} \approx 12.33 \)
- 2回目 (2~4日目の平均): \( \frac{12 + 15 + 14}{3} = \frac{41}{3} \approx 13.67 \)
- 3回目 (3~5日目の平均): \( \frac{15 + 14 + 13}{3} = \frac{42}{3} =14 \)
4.2. 加重移動平均
加重移動平均は、最近のデータに大きな重みをつけて計算します。ここでは、重みをそれぞれ 1, 2, 3(最新の日付に最も大きな重み)とします。
- 1回目 (1~3日目): \( \frac{10 \times 1 + 12 \times 2 + 15 \times 3}{1+2+3} = \frac{10 + 24 + 45}{6} = \frac{79}{6} \approx 13.17 \)
- 2回目 (2~4日目): \( \frac{12 \times 1 + 15 \times 2 + 14 \times 3}{6} = \frac{12 + 30 + 42}{6} = \frac{84}{6} = 14.00 \)
- 3回目 (3~5日目): \( \frac{15 \times 1 + 14 \times 2 + 13 \times 3}{6} = \frac{15 + 28 + 39}{6} = \frac{82}{6} \approx 13.67 \)
4.3. 指数移動平均
平滑化係数 \(\alpha\) を設定し、EMAを更新します。今回は、平滑化係数 \(\alpha = \frac{2}{N+1} = \frac{2}{3+1} = 0.5\) とします。
- 1回目: SMAの値を最初のEMAとして使います。つまり、12.33です。
- 2回目:$$EMA_2 = \alpha \times \text{最新値} + (1 - \alpha) \times EMA_1 = 0.5 \times 14 + 0.5 \times 12.33 = 7 + 6.165 = 13.17$$
- 3回目: \( EMA_3 = 0.5 \times 13 + 0.5 \times 13.17 = 6.5 + 6.585 = 13.085 \)
4.4. まとめ
日付範囲 | 単純移動平均(SMA) | 加重移動平均(WMA) | 指数移動平均(EMA) |
---|---|---|---|
1日目~3日目 | 12.33 | 13.17 | 12.33 |
2日目~4日目 | 13.67 | 14.00 | 13.17 |
3日目~5日目 | 14.00 | 13.67 | 13.085 |