損益計算書とは何か?ゆるーくわかりやすく解説




1. 損益計算書とは?
損益計算書(Profit and Loss Statement、P/L)は、企業の一定期間における収益と費用、そしてその結果として得られる利益または損失を記録した財務諸表です。会社の経営状況や収益力を把握する上で非常に重要な資料であり、株主や投資家、銀行などの利害関係者に対しても企業の状況を説明するために使われます。


2. 損益計算書の役割
損益計算書には以下のような役割があります:
2.1. 経営成績の把握
一定期間内(通常は1年間や四半期)にどれだけの収益を上げ、それに対してどの程度の費用が発生したのかを把握します。
2.2. 利益構造の分析
売上からどの程度の利益を確保できているか、またその利益の構成要素を詳細に分析できます。たとえば、本業で稼いだ利益(営業利益)と、投資など本業以外で得た利益(営業外利益)を分けて確認します。
2.3. 経営改善の指針
赤字の原因や収益性の低い活動を特定し、経営改善の指針として活用します。
3. 損益計算書の利益
損益計算書には、会社の収益状況を把握するためのさまざまな利益項目が記載されています。ここでは、それぞれの項目をわかりやすく説明します。
3.1. 売上総利益
売上総利益は、会社が製品やサービスを販売することで得た利益から、直接かかった費用(売上原価)を差し引いたものです。
計算式:
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
例えば、製品を10,000円で販売し、その製品の原価が6,000円だった場合、売上総利益は4,000円となります。この利益は、製品やサービスそのものの収益性を示します。売上総利益が高いほど、販売する商品やサービスの価値が高いと判断されます。
3.2. 営業利益
営業利益は、売上総利益から会社の日常運営にかかる経費(販売費および一般管理費、略して「販管費」)を引いたものです。
計算式:
営業利益 = 売上総利益 - 販管費
販管費には、従業員の給料、広告宣伝費、家賃などが含まれます。この数字は、会社の本業がどれだけ利益を出しているかを示す重要な指標です。営業利益がプラスであれば、本業が順調に運営されているといえます。逆にマイナスであれば、コストがかかりすぎている可能性があります。
3.3. 経常利益
経常利益は、営業利益に会社の通常の活動から生じるその他の収益や費用を加えたものです。
計算式:
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
ここでの「営業外収益」には、例えば銀行預金の利息収入や、株式投資による配当金が含まれます。一方、「営業外費用」には借入金の利息や為替差損などが該当します。経常利益は、会社の通常の活動全体を反映した利益といえます。この数値を見ることで、営業活動以外も含めた会社全体の収益力を把握できます。
3.4. 税引前当期純利益
税引前当期純利益は、経常利益に臨時の収益や費用を加えたものです。この臨時収益や費用には、土地や設備を売却した際の利益や損失、災害による特別な損失などが含まれます。
計算式:
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
この項目は、会社が一時的な出来事も含めてどれだけ利益を出しているかを示します。ただし、ここには法人税や住民税などの税金が含まれていません。
3.5. 当期純利益
当期純利益は、会社が最終的に得た利益を示す項目です。この利益は、税金を差し引いた後の金額であり、株主への配当金や、会社の内部留保(企業の貯蓄や投資)に充てられます。
計算式:
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等
当期純利益は、会社の経営の成果を最もシンプルに表す指標です。この数字がプラスであれば、会社が黒字であることを意味し、株主や投資家にとっても重要なポイントとなります。
4. 損益計算書を読むポイント
損益計算書を理解するためには、以下のポイントを押さえると良いでしょう。
- 売上高の推移を確認
過去数年分の損益計算書を比較し、売上高が成長しているかを確認します。 - 利益率を見る
売上高に対する営業利益率や経常利益率を計算することで、会社の収益性を評価できます。営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100 - 費用の割合を分析
売上原価や販管費が売上高に対してどの程度の割合を占めているかを確認し、コスト削減の余地を検討します。 - 特別損益の影響を理解する
特別利益や特別損失は一時的なものなので、これが本業の収益性を歪めていないかをチェックします。