連続型確率変数と離散型確率変数の意味・例題について



1. 連続型確率変数と離散型確率変数について
確率変数は、確率分布に従う値を取る変数のことです。確率変数は大きく分けて 連続型確率変数 と 離散型確率変数 に分類されます。それぞれの違いを以下に詳しく説明します。確率変数の取りうる値を実現値といいます。
2. 離散型確率変数
離散型確率変数 は、取りうる値が数えられるような確率変数です。具体的には、値が有限個、または数え上げ可能な無限個である場合がこれに該当します。
- 例: サイコロを振る場合、出る目(1, 2, 3, 4, 5, 6)は離散型確率変数です。なぜなら、それらの値は数えられるからです。
- 確率分布: 離散型確率変数では、各値が取る確率が定義され、その確率をすべて合計すると 1 になります。これを確率質量関数と呼びます。
- 代表的な例:
- サイコロの目
- コインの表裏
- 商品の売上数
2.1. 離散型確率変数の特徴
- 取り得る値は整数(または明確な値)で表される。
- 確率質量関数 を使って、それぞれの値が取る確率を記述する。
確率質量関数 \( P(X = x) \) は、変数 \( X \) が特定の値 \( x \) を取る確率を表します。
サイコロの目 \( X \) に対する確率質量関数は次のようになります。
\[ P(X = x) = \frac{1}{6}, \quad x = 1, 2, 3, 4, 5, 6 \]


3. 連続型確率変数
連続型確率変数 は、取りうる値が数えられない場合の確率変数です。これは通常、特定の範囲内で任意の実数を取ることができます。
- 例: 1秒間に観測される風速は、任意の値を取り得ます。これは連続的な値を持つため、連続型確率変数です。
- 確率分布: 連続型確率変数では、特定の値に対する確率はゼロです。その代わりに、ある範囲に入る確率を考えます。連続型確率変数の分布は 確率密度関数によって表され、関数の下の面積(積分)によって確率が計算されます。
- 代表的な例:
- ある区間内の温度
3.1. 連続型確率変数の特徴
- 取り得る値は実数であり、任意の小数も含む。
- 確率密度関数によって確率分布が記述される。
確率密度関数 \( f(x) \) は、変数 \( X \) が特定の区間に入る確率を求める際に使われます。具体的には、確率は区間内での積分として表されます。
連続型確率変数 \( X \) が区間 \( [a, b] \) に入る確率は次のように表されます。
\[ P(a \leq X \leq b) = \int_a^b f(x) \, dx \]
ここで、\( f(x) \) は確率密度関数です。
4. 離散と連続のまとめ
5. 例題
5.1. 例題 1: サイコロを振る
- 確率変数 \( X \) の取りうる値は1から6までの整数である。
- 各出目が出る確率は等しく、確率は \( \frac{1}{6} \) である。
\( X \) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|
\( P(X=x) \) | \( \frac{1}{6} \) | \( \frac{1}{6} \) | \( \frac{1}{6} \) | \( \frac{1}{6} \) | \( \frac{1}{6} \) | \( \frac{1}{6} \) |
5.2. 例題 2: コインを2回投げる
- 確率変数 \( Y \) は、0回、1回、2回の表が出る回数を取ることができる。
- 各コインの表が出る確率は \( \frac{1}{2} \) である。
\( Y \) | 0 | 1 | 2 |
---|---|---|---|
\( P(Y=y) \) | \( \frac{1}{4} \) | \( \frac{1}{2} \) | \( \frac{1}{4} \) |
表が0回:裏-裏の場合
\[ P(Y=0) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4} \]
表が1回:表-裏、または裏-表の場合
\[ P(Y=1) = 2 \times \left( \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} \right) = \frac{1}{2} \]
表が2回:表-表の場合
\[ P(Y=2) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{2} = \frac{1}{4}\]
5.3. 例題 3: ビンゴゲーム
ビンゴカードには1から75までの数字が書かれているため、取りうる偶数の数は次の通り。
- 偶数は \( 2, 4, 6, …, 74 \) のように計算できるため、全体で偶数は37個ある。
- 全体の数字は75個なので、偶数が選ばれる確率は以下のようになる。
\[ P(Z=\text{偶数}) = \frac{37}{75} \] \[ P(Z=\text{奇数}) = \frac{38}{75} \]