更新:2024/10/04

【不等式テクニック】三角形とRavi変換の考え方と例題について

はるか
はるか
Ravi変換、なんとなく見たことあるけど、具体的にどういう場面で使うんだっけ?
ふゅか
ふゅか
三角形に関連する不等式を証明するときに便利な手法よ!

1. Ravi変換

Ravi変換は、三角形の各辺の長さを使った不等式の証明でよく使われる便利な手法です。この変換は、 \( a \), \( b \), \( c \) を新しい変数 \( x \), \( y \), \( z \) を使って次のように置き換えるものです。

\[ a = x + y, \quad b = y + z, \quad c = z + x \]

この変換を行うと、三角形の性質に基づく制約が自動的に満たされるため、三角形に関連する不等式の証明が簡単になることが多いです。

日本語では、Ravi変換と呼びますが、英語だとRavi transformation よりもRavi Substitutionと書かれていることが多いかなと感じてます。まぁ、実際に行っていることは、単なる置換なので。

1.1. Ravi変換の考え方

三角形の辺 を\( a \), \( b \), \( c \)としたとき、次の不等式を満たす。

\begin{cases}
&-a + b + c > 0 \\
&a - b + c > 0 \\
&a + b - c > 0
\end{cases}

このとき、

$$\begin{cases} &2x=-a + b + c > 0 \\ &2y=a - b + c > 0 \\ &2z=a + b - c> 0 \end{cases}$$

と置くと、$x>0,y>0,z>0$となり、三角形のもとの不等式と同値条件になる。ここで、$a,b,c$について解くと、

\[ a = x + y, \quad b = y + z, \quad c = z + x \]

となります。

はるか
はるか
これで不等式を処理しやすくなる。
ふゅか
ふゅか
だから、問題を解く一つのカギとしてRavi変換を使うと良いわね♪

2. 例題

三角形の各辺の長さを \( a \), \( b \), \( c \) とするとき、次の不等式を満たすことを示しなさい。

$$(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)\geq abc$$

Ravi変換を利用すると、次のように変形できます。

\[ \begin{cases} (-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c) = 8xyz \\ abc = (x+y)(y+z)(z+x) \end{cases} \]

したがって、もとの不等式は以下の形に帰着します。

\[ (x+y)(y+z)(z+x) \leq 8xyz \]

この不等式を証明することで、元の問題が示されることになります。

はるか
はるか
元の不等式より、示すのが簡単そう。

次に、この不等式を証明します。まず、相加相乗平均の不等式を用いると、\(x > 0, y > 0, z > 0\) の場合に次の関係が成り立ちます。

\[ x + y \leq 2\sqrt{xy} \]

\[ y + z \leq 2\sqrt{yz} \]

\[ z + x \leq 2\sqrt{zx} \]

これらの3つの不等式をすべて掛け合わせると、次のようになります。

\[ (x+y)(y+z)(z+x) \leq (2\sqrt{xy})(2\sqrt{yz})(2\sqrt{zx})= 8xyz \]

したがって、不等式

\[ (x+y)(y+z)(z+x) \leq 8xyz \]

が成り立つことがわかります。また、等号が成立するのは、\( x = y \)、\( y = z \)、\( z = x \) である場合です。これより、\( x = y = z \) のときに等号が成立します。

以上より、不等式 \((x+y)(y+z)(z+x) \leq 8xyz\) が証明され、元の不等式も成り立つことが示されました。

3. 不等式以外の使用例

不等式証明だけなく、公式などにも使うと、きれいな形になる場合があります。

3.1. ヘロンの公式

三角形の面積を求めるヘロンの公式は次のように表すことができる。

$$S = \sqrt{xyz(x+y+z)}$$

ヘロンの公式によると、三角形の面積Sは

$$S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$

が成り立ちます。ここで $s = \dfrac{a+b+c}{2}$であるので、Ravi変換を行うと、

$$s=\dfrac{a+b+c}{2}=\dfrac{x+y+y+z+z+x}{2}=x+y+z$$

ここで、

$$s-a=z\quad s-b=x \quad s-c = y$$

となるので、

$$S = \sqrt{xyz(x+y+z)}$$

3.2. 内接円の半径

内接円の半径rは次のように表すことができる。

$$r=\dfrac{\sqrt{xyz(x+y+z)}}{x+y+z}$$

内接円と三角形の面積より、

$$S=\dfrac{1}{2}(a+b+c)r$$

であるので、$a+b+c=2(x+y+z)$となるので、

$$r=\dfrac{S}{x+y+z}$$

先ほど求めたヘロンの公式より、

$$r=\dfrac{\sqrt{xyz(x+y+z)}}{x+y+z}$$

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