はるか
ふゅか
うん、ちょっと難しそうだけど、大丈夫!基本的には3つの非負の実数とrによって決まる不等式だよ!
1. Schurの不等式とは
3つの非負の実数
x,y,z に対して、次の不等式が成り立ちます。
xr(x–y)(x–z)+yr(y–z)(y–x)+zr(z–x)(z–y)≥0
等号成立条件は次のようにrによって決まります。
r>0のとき、x=y=zまたはx,y,zのうち二つが等しく、残りは0になる。
r≤0のとき、x=y=zとなる。
ここで、r は実数です。この不等式は特に r=1 の場合、以下の形になります。
x(x–y)(x–z)+y(y–z)(y–x)+z(z–x)(z–y)≥0
x3+y3+z3–(x2y+y2x+y2z+z2y+z2x+x2z)+3xyz≥0
x3+y3+z3+3xyz≥x2y+y2z+z2x+x2z+y2x+z2y
r=2の場合は、次のようになります。
x2(x–y)(x–z)+y2(y–z)(y–x)+z2(z–x)(z–y)≥0
2. 証明
ふゅか
証明するには対称性を利用するのがポイントだね。
x≥y≥z≥0 と仮定すると、各項の符号を調べやすくなるんだ。
はるか
まず
T1,T2,T3 の符号から考える。
対称性より、一般性を失わないため、x≥y≥z≥0 と仮定します。
T1=xr(x–y)(x–z)
T2=yr(y–z)(y–x)
T3=zr(z–x)(z–y)
T1について考える。
T1=xr(x–y)(x–z)
x≥y≥z≥0 なので、x–y≥0 かつ x–z≥0 です。
xr≥0 であり、x≥0 かつ r>0 です。
したがって、T1≥0です。
次に、T2について考える。
T2=yr(y–z)(y–x)
x≥y≥z≥0 なので、y–z≥0 かつ y–x≤0 、yr≥0です。
したがって、T2≤0となる。
最後に、T3について考える。
T3=zr(z–x)(z–y)
x≥y≥z≥0 なので、z–x≤0 かつ z–y≤0、zr≥0となる。
したがって、T3≥0となる。
よって、T2が負であるため、T2とほかの項の和が0以上であることを示せればいい。
r>0の場合
合計 T1+T2 を考えます。
T1+T2=xr(x–y)(x–z)+yr(y–z)(y–x)=(x–y){xr(x–z)–yr(y–z)}
x–y≥0 なので、中括弧内の式が非負であることを示す必要があります。
x–z≥y–z≥0より、
xr(x–z)–yr(y–z)≥xr(y–z)–yr(y–z)=(xr–yr)(y–z)≥0
xr≥yr、これは x≥y かつ r>0 だからです。
T1+T2≥0、T3≥0より、
T1+T2+T3≥0
r≤0の場合
合計 T2+T3 を考えます。
T2+T3= yr(y–z)(y–x)+zr(z–x)(z–y)=(y−z){yr(y−x)–zr(z−x)}
y−z≥0 なので、中括弧内の式が非負であることを示す必要があります。
y−x≥z−xより、
yr(y−x)–zr(z−x)≥yr(z−x)–zr(z−x)=(yr–zr)(z−x)≥0
ここで、z−x≤0です。また、yr–zrはr<0より、yr–zr≤0です。
T2+T3≥0、T1≥0より、
T1+T2+T3≥0