システムの保守性とは?ゆるーくわかりやすく解説



1. 保守性
システムの保守性(serviceability)は、システムやアプリケーションの修理や改善、管理がどれだけ容易かを指す重要な要素です。保守性が高いシステムは、トラブルが発生した場合や、新しい機能の追加が必要な場合に迅速かつ効率的に対応できます。そのため、システムの寿命を延ばし、長期間にわたり安定した運用を続けるために欠かせない特性です。
1.1. RASIS
システムの保守性はRASISの一種です。RASISは次の5つの頭文字からとったものです。
2. 保守性の指標
MTTR(Mean Time to Repair)は、日本語で「平均修復時間」とも訳され、システムや機器が故障した際に、それを修理して正常に戻すまでにかかる平均時間を表します。システムの保守性を評価する際に、MTTRは非常に重要な指標の一つです。MTTRは次の式で計算されます。
$$\text{MTTR} = \dfrac{システムの稼働時間}{システムの故障回数}$$
3. 保守性が大切な理由
システムは時間が経つと、環境の変化や新たな要件によって対応が必要になります。たとえば、OSのアップデートや他のソフトウェアとの連携など、古いシステムでもしっかり対応できるようにしておくことが求められます。このように、保守性が高いと、以下のような点で安心です。
3.1. 障害の早期解決
問題が発生した際、すぐに原因を見つけて修正できると、システムのダウンタイムを短くできます。
3.2. 効率的な改良
新しい機能を追加したり、不要な部分を整理したりするときに、保守性が良いと作業がスムーズです。
3.3. 長期的なコスト削減
将来的に多くの修正やアップデートが必要な場合でも、保守しやすいシステムなら少ないリソースで対応できます。


4. 保守性を高めるためのポイント


4.1. コードの整理・コメント
コードが整理され、適切なコメントが付与されていると、開発者以外の技術者がその内容を理解しやすくなります。コメントはコードの意図や動作を簡潔に説明するためのもので、特に複雑な処理が含まれている場合には必須です。
4.2. モジュール化
システムを複数のモジュールに分割し、それぞれが独立して機能するように設計することは保守性向上に効果的です。モジュールごとに修正やアップデートがしやすく、他の部分への影響を最小限に抑えることができます。
4.3. ドキュメントの整備
設計や構成、各機能の概要など、システムに関する情報が適切に記録されたドキュメントがあると、開発者が変わってもスムーズに引き継ぎが行えます。特に、システムの仕様書や運用マニュアルは、問題が発生した際の対応を迅速化します。