集合と要素の意味と種類、例題について



1. 集合と要素
集合(しゅうごう)とは、「ある条件を満たすものの集まり」を指します。たとえば、「5以下の自然数の集まり」や「赤い色をした果物の集まり」などが集合として考えられます。
1.1. 集合の基本
集合を表現する際には、波括弧 {}
を使うのが一般的です。たとえば、「1, 2, 3」という要素を持つ集合は次のように書きます。
$$ A = \{1, 2, 3\} $$
ここで、「集合」はグループ全体を、「要素(ようそ)」はそのグループ内の1つ1つの要素を指します。たとえば、上記の集合 $A$ では、$1$ や $2$ が要素です。


1.2. 集合の要素
要素とは、集合を構成する具体的な「中身」です。要素が集合に含まれるかどうかを確認するときは、次のような記号を使います。
1.3. 要素が集合に含まれる場合
要素 $x$ が集合 $A$ に含まれる場合、次のように表します。
$$ x \in A $$
たとえば、集合 $A = \{1, 2, 3\}$ において、$1$ は集合 $A$ の要素なので、$1 \in A$ と書きます。
1.4. 要素が集合に含まれない場合
要素 $x$ が集合 $A$ に含まれない場合は次のように表します。
$$ x \notin A $$
たとえば、$4$ は集合 $A = \{1, 2, 3\}$ の要素ではないので、$4 \notin A$ となります。
1.5. 集合を使う利点
集合の考え方を利用すると、物事を整理して理解しやすくなります。たとえば、学校の生徒を「運動部に所属している生徒」と「文化部に所属している生徒」のように分けることで、グループ分けが明確になり、分析が容易になります。
また、集合の概念は数学だけでなく、データベースやプログラミングなどさまざまな分野で活用されています。
2. 集合の種類


∅
または {}
。2.1. 空集合(くうしゅうごう)
要素が1つも含まれていない集合を空集合といいます。空集合は次のように表します。
$$ \emptyset \quad \text{または} \quad \{\} $$
たとえば、「20より小さくて30より大きい自然数の集合」は空集合になります。なぜなら、そのような数字は存在しないからです。
2.2. 和集合(わしゅうごう)
2つの集合 \( A \) と \( B \) の和集合は、\( A \) と \( B \) のいずれかに属する要素をすべて含む集合です。
次のように表します。
$$ A \cup B = \{ x \mid x \in A \text{ または } x \in B \} $$
2.3. 積集合(せきしゅうごう)
2つの集合 \( A \) と \( B \) の積集合は、\( A \) と \( B \) の両方に属する要素のみからなる集合です。
次のように表します。
$$ A \cap B = \{ x \mid x \in A \text{ かつ } x \in B \} $$
2.4. 補集合(ほしゅうごう)
ある集合 \( U \) を全体集合とすると、集合 \( A \) の補集合は、\( U \) に属し、かつ \( A \) に属さない要素からなる集合です。
次のように表します。
$$ A^c = \{ x \mid x \in U \text{ かつ } x \notin A \} $$
2.5. 差集合(さしゅうごう)
2つの集合 \( A \) と \( B \) において、\( A \) に属し、かつ \( B \) に属さない要素からなる集合を差集合といいます。
次のように表します。
$$ A – B = \{ x \mid x \in A \text{ かつ } x \notin B \} $$
3. 集合の例題
3.1. 例題 1: 集合の要素を確認しよう
集合 \( A = \{2, 4, 6, 8, 10\} \) があります。
- \( 4 \in A \) は正しいですか?
- \( 5 \in A \) は正しいですか?
- 集合 \( A \) に含まれる要素をすべて挙げてください。
- \( 4 \in A \) は正しい。なぜなら、4 は集合 \( A \) に含まれるからです。
- \( 5 \in A \) は正しくない。5 は集合 \( A \) の要素ではありません。
- 集合 \( A \) の要素は \( 2, 4, 6, 8, 10 \) です。
3.2. 例題 2: 集合の表記
次の説明に基づいて集合を作成しなさい。
- 「10 以下の自然数で、3 の倍数」
- 「5 より大きく 12 以下の整数」
- 「0 と 1 のみを要素とする集合」
- 集合 \( B = \{3, 6, 9\} \)
- 集合 \( C = \{6, 7, 8, 9, 10, 11, 12\} \)
- 集合 \( D = \{0, 1\} \)
3.3. 例題 3: 要素を含む条件
次の要素がそれぞれの集合に含まれるかどうかを答えてください。
- 集合 \( H = \{x \mid x は 1 以上 10 以下の偶数\} \) に \( 7 \) は含まれますか?
- 集合 \( I = \{x \mid x は 0 以上の整数で、5 の倍数\} \) に \( 15 \) は含まれますか?
- 集合 \( J = \{a, b, c, d\} \) に \( e \) は含まれますか?
- \( 7 \) は含まれません(7 は奇数だから)。
- \( 15 \) は含まれます(15 は 5 の倍数だから)。
- \( e \) は含まれません(\( J \) の要素に \( e \) は存在しない)。
3.4. 例題 4: 空集合の確認
次の条件を満たす集合において、それぞれ空集合になるかどうかを答えなさい。
- 集合 \( K = \{x \mid x は 0 以下の自然数\} \)
- 集合 \( L = \{x \mid x は偶数で、奇数でもある\} \)
- 集合 \( M = \{x \mid x は 5 以上 5 以下の整数\} \)
- \( K \) は空集合です(自然数は正の整数なので、0 以下のものはありません)。
- \( L \) は空集合です(偶数と奇数を同時に満たす数はありません)。
- \( M \) は空集合ではありません(\( M = \{5\} \) となります)。