更新:2025/02/21
【統計検定2級対策】仮説検定でよく出る統計検定量を総整理

統計検定2級では、さまざまな検定統計量が登場し、それぞれが「どの分布に従うか」「どんなときに使われるか」を把握することが大切です。ここでは代表的な検定量を一通り整理します。
目次
1. 押さえておきたいポイント
- 自由度 (degrees of freedom、df)
- t分布、F分布、\(\chi^2\)分布などで必ず登場する。
- 多くの場合、\((n-1)\) のような形で現れる。
- t分布と正規分布の関係
- t分布は標本数 \(n\) が大きくなると標準正規分布に近づく。
- 大標本の場合は中心極限定理により、正規分布(標準正規分布)を用いることが多い。
2. 母平均の検定
2.1. 母分散既知(正規母集団)
- 帰無仮説: 母平均が \(\mu\) である。
- 検定統計量: \[ Z = \frac{\bar{X} - \mu}{\sigma / \sqrt{n}} \]
- 分布: 標準正規分布に従う。
2.2. 母分散未知・小標本(t検定)
- 条件: 母集団が正規分布、標本数 \(n\) が小さい。
- 帰無仮説: 母平均が \(\mu\) である。
- 検定統計量: \[ t = \frac{\bar{X} - \mu}{U / \sqrt{n}} \] ここで \(U^2\) は不偏分散。
- 分布: 自由度 \((n - 1)\) の t分布に従う。
2.3. 母分散未知・大標本
- 条件: 標本数 \(n\) が大きい。
- 帰無仮説: 母平均が \(\mu\) である。
- 検定統計量: \[ Z = \frac{\bar{X} - \mu}{U / \sqrt{n}} \]
- 分布: 中心極限定理により、近似的に標準正規分布に従う。
3. 対応のある2群の母平均の差の検定
- 条件: 同じ対象に対して2回測定したデータや、同じ単位でペアになっているデータ。
- 差の標本平均: \(\bar{d}\)
- 差の不偏分散: \(U_d^2\)
- 検定統計量: \[ t = \frac{\bar{d}}{U_d / \sqrt{n}} \]
- 分布: 自由度 \((n - 1)\) の t分布。
4. 対応のない2群の母平均の差の検定
母分散既知の場合(正規母集団)
- 母集団が正規分布
- 母分散がそれぞれ、$\sigma_1^2 \sigma_2^2$
- 標本のサイズが$n_1$、$n_2$
- 統計検定量は標準正規分布に従う
\[ Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{\frac{\sigma_1^2}{n_1} + \frac{\sigma_2^2}{n_2}}} \]
4.1. 母分散未知・大標本の場合
\[ Z = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{\sqrt{\frac{U_1^2}{n_1} + \frac{U_2^2}{n_2}}} \]
- \(U_1^2, U_2^2\) はそれぞれの不偏分散。
- 大標本なので、中心極限定理より、標準正規分布に従う。
4.2. 母分散未知・小標本(等分散)
- 等分散の仮定がある場合、プールした分散 \(U_p^2\) を使う。
\[ t = \frac{\bar{X}_1 - \bar{X}_2}{U_p \sqrt{\frac{1}{n_1} + \frac{1}{n_2}}} \]
- 自由度: \((n_1 + n_2 - 2)\)のt分布。
- プールした分散 (\(U_p\)) は \[ U_p^2 = \frac{(n_1 - 1)U_1^2 + (n_2 - 1)U_2^2}{n_1 + n_2 - 2} \] などで定義される。
5. 母分散の検定(\(\chi^2\)検定)
- 条件: 母集団が正規分布。
- 帰無仮説: 母分散が \(\sigma^2\) である。
- 検定統計量: \[ \chi^2 = \frac{(n-1)U^2}{\sigma^2} \]
- 分布: 自由度 \((n - 1)\) の \(\chi^2\)分布。
6. 母比率の検定
6.1. 母比率の検定(大標本)
- 帰無仮説: 母比率が \(p\) である。
- 標本比率: \(\hat{p} = X/n\)
- 検定統計量: \[ Z = \frac{\hat{p} - p}{\sqrt{p(1 - p) / n}} \]
- 分布: 大標本では標準正規分布に近似。
6.2. 母比率の差の検定(大標本)
- 帰無仮説: 母比率に差がない。
- 標本比率: \(\hat{p}_1 = X_1 / n_1\), \(\hat{p}_2 = X_2 / n_2\)
- 検定統計量: \[ Z = \frac{\hat{p}_1 - \hat{p}_2}{\sqrt{\frac{\hat{p_1}(1 - \hat{p_1})}{n_1} + \frac{\hat{p_2}(1 - \hat{p_2})}{n_2}}} \]
- 分布: 標準正規分布に近似。
7. 等分散仮説の検定(F検定)
- 2つの正規母集団からそれぞれ標本を取り、不偏分散 \(U_A^2, U_B^2\) を計算。
- 標本のサイズはそれぞれ$n_A$,$n_B$。
- 帰無仮説: 2つの母分散が等しい。
- 検定統計量: \[ F = \frac{U_A^2}{U_B^2} \]
- 分布: \( F(\,n_B - 1,\, n_A - 1)\) の分布に従う。
8. 適合度検定(\(\chi^2\)検定)
- 目的: 観測された度数が、ある理論・分布に「どの程度適合しているか」を検定。
- 期待度数: \(E_i = n \cdot p_i\) (理論上の値)
- 観測度数: \(X_i\)
- 検定統計量: \[ \chi^2 = \sum \frac{(X_i - E_i)^2}{E_i} \]
- 分布: 自由度「カテゴリ数 - 1」の \(\chi^2\) 分布。
- 日本語にすると、$$\sum\frac{(観測度数-期待度数)^2}{期待度数}$$
9. 独立性の検定(\(\chi^2\)検定)
- クロス集計表(例: \(k\)行\(\times l\)列)で、行と列の要因が独立かどうかを検定。
- 帰無仮説: 行と列の要因は独立。
- 検定統計量: \[ \chi^2 = \sum \frac{(O_{ij} - E_{ij})^2}{E_{ij}} \]
- \(O_{ij}\): 観測度数、\(E_{ij}\): 期待度数
- 分布: 自由度 \((k - 1)(l - 1)\) の \(\chi^2\)分布。
- 表であるので添え字がijのように二つ。
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