更新:2024/11/24

総和記号(シグマ)Σの意味や性質、具体例について

ふゅか
ふゅか
総和記号って、なんだかよく出てくるけど、どうやって使うのかな?
はるか
はるか
ある範囲の和を表す。aからbまで足す時とか。

1. 総和とは

総和記号\(\sum\)は、ある範囲内で和を表すための数学的な記号です。

1.1. 総和記号の意味

aからbまでの$x_i$の総和は次のように書かれます。

\[ \sum_{i=a}^{b} x_i \]

ここで、それぞれの要素は以下のような意味を持ちます。

  • \(\sum\):これは総和記号。シグマと呼ばれます。
  • \(i\):添え字インデックスと呼ばれ、総和の範囲内で変化する変数です。この変数は、整数であることが一般的です。
  • \(a\):開始値で、インデックス変数 \(i\) が始まる値です。
  • \(b\):終了値で、インデックス変数 \(i\) が終わる値です。
  • \(x_i\):数列または関数で、インデックス \(i\) に対応して計算される値です。

シグマはとびとびの値(離散値)の和になります。

2. 総和の具体例

2.1. 例 1: 数の和

例えば、次のような和を考えます。

\[ \sum_{i=1}^{5} i \]

これは、1から5までの整数の和を表します。この場合、次のように計算できます。

\[ 1 + 2 + 3 + 4 + 5 = 15 \]

このシグマの計算は、三角数と関係があります。

2.2. 例 2: 平方の和

今度は、次のような平方の和を考えます。

\[ \sum_{i=1}^{4} i^2 \]

この場合は、1から4までの各 \(i\) の2乗を足します。

\[ 1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 = 1 + 4 + 9 + 16 = 30 \]

ふゅか
ふゅか
シグマ記号のいいところって、数値の範囲をまとめて表現できることよね。
はるか
はるか
平方の和、計算すると30。

3. 総和の性質

3.1. 線形性

総和の演算には線形性があり、定数倍や項の和に対して次の性質が成り立ちます。

\[\begin{align*} \sum_{i=a}^{b} c \cdot x_i&= c \cdot \sum_{i=a}^{b} x_i \\ \sum_{i=a}^{b} (x_i + y_i) &= \sum_{i=a}^{b} x_i + \sum_{i=a}^{b} y_i \end{align*}\]

まず、定数倍の性質を証明します。左辺の総和は、次のように展開されます。

\[ \sum_{i=a}^{b} c \cdot x_i = c \cdot x_a + c \cdot x_{a+1} + \cdots + c \cdot x_b \]

これを共通因数 \(c\) で括り出すことができます。

\[ c \cdot (x_a + x_{a+1} + \cdots + x_b) = c \cdot \sum_{i=a}^{b} x_i \]

したがって、

\[ \sum_{i=a}^{b} c \cdot x_i = c \cdot \sum_{i=a}^{b} x_i \]

次に、和に関する性質を証明します。左辺を展開すると、

\[ \sum_{i=a}^{b} (x_i + y_i) = (x_a + y_a) + (x_{a+1} + y_{a+1}) + \cdots + (x_b + y_b) \]

項ごとに分解すると

\[ = (x_a + x_{a+1} + \cdots + x_b) + (y_a + y_{a+1} + \cdots + y_b) \]

総和記号を使って書き直すと、

\[ \sum_{i=a}^{b} (x_i + y_i) = \sum_{i=a}^{b} x_i + \sum_{i=a}^{b} y_i \]

以上より、総和の演算に線形性があることが示された。

3.2.  範囲の分割

総和を部分的に分割して扱うことができます。

\[ \sum_{i=a}^{c} x_i = \sum_{i=a}^{b} x_i + \sum_{i=b+1}^{c} x_i \]

つまり、総和の範囲を \(a\) から \(b\)、および \(b+1\) から \(c\) に分けることができます。

与えられた総和を展開します。
\[ \begin{align*}\sum_{i=a}^{c} x_i &= x_a + x_{a+1} + \dots + x_b + x_{b+1} + \dots + x_c\\ &=(x_a + x_{a+1} + \dots + x_b) + (x_{b+1} + x_{b+2} + \dots + x_c) \end{align*} \]

ここで、\( i = a \) から \( i = b \) までの項の和:

\[ \sum_{i=a}^{b} x_i = x_a + x_{a+1} + \dots + x_b \]

一方で、\( i = b+1 \) から \( i = c \) までの項の和:

\[ \sum_{i=b+1}^{c} x_i = x_{b+1} + x_{b+2} + \dots + x_c \]

したがって、

\[ \begin{align*}\sum_{i=a}^{c} x_i &=(x_a + x_{a+1} + \dots + x_b) + (x_{b+1} + x_{b+2} + \dots + x_c)\\ &=\sum_{i=a}^{b} x_i + \sum_{i=b+1}^{c} x_i \end{align*} \]


例えば、

\[ \sum_{i=1}^{5} i = \sum_{i=1}^{3} i + \sum_{i=4}^{5} i \]

これは次のように計算できます。

\[ (1 + 2 + 3) + (4 + 5) = 6 + 9 = 15 \]

3.3. 差分の和(望遠鏡和)

一部の総和では、隣接する項が相殺される 望遠鏡和 と呼ばれる形になります。

\[ \sum_{i=a}^{b} (f(i) – f(i+1)) = f(a) – f(b+1) \]

はるか
はるか
望遠鏡和も面白い。
ふゅか
ふゅか
あ、隣り合った項が打ち消し合うやつね。

詳しくは次の記事で解説しています。

差分で考えるシグマ

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