更新:2024/09/03

上限 (sup) と下限 (inf) の意味・定義・具体例・例題について

はるか
はるか
上限と下限、どっちから話そうか?
ふゅか
ふゅか
まずは上限からいこうよ!それが理解できたら、下限も簡単になるから♪

1. 上限 (sup, supremum)について

1.1. 上限の意味・定義

上限とは、ある集合 \( S \) の上界の中で最小のものを指します。つまり、全ての要素がその値以下であり、かつそれより小さい上界は存在しません。

1.2. 上限の具体例

集合 \( S = \{ x \in \mathbb{R} \mid 0 \leq x < 1 \} \) の上限は 1 です。これは、1 が集合 \( S \) の要素のすべてを覆う最小の上界であるためです。ただし、1 は \( S \) の要素ではありません。

はるか
はるか
上限は、集合の全ての要素を覆う最小の上界。

 

2. 下限 (inf, infimum)について

2.1. 下限の定義

下限とは、ある集合 \( S \) の下界の中で最大のものを指します。つまり、全ての要素がその値以上であり、かつそれより大きい下界は存在しません。

2.2. 下限の具体例

集合 \( T = \{ x \in \mathbb{R} \mid 1 < x \leq 2 \} \) の下限は 1 です。これは、1 が集合 \( T \) の要素のすべてを覆う最大の下界であるためです。ただし、1 は \( T \) の要素ではありません。

ふゅか
ふゅか
下限は、上限の逆みたいなものだよね!集合の全ての要素がそれ以上の値を持つ、最大の下界を指すんだよね。
はるか
はるか
集合に含まれていないけど重要。

3. 例題

ふゅか
ふゅか
例題を解いてみるともっと理解が深まるよね!最初は簡単な集合から始めてみよう♪

3.1. 例題 1: 有限集合の場合

集合 \( S = \{1, 2, 3, 4, 5\} \) とします。Sの最大値、最小値、上限、下限を求めよ。
  • 最大値 (max): \( S \) の最大の要素は \( 5 \) です。したがって、最大値は \( \max S = 5 \) です。
  • 最小値 (min): \( S \) の最小の要素は \( 1 \) です。したがって、最小値は \( \min S = 1 \) です。
  • 上限 (sup): この場合、上限は最大値と同じであり、\( \sup S = 5 \) です。
  • 下限 (inf): この場合、下限は最小値と同じであり、\( \inf S = 1 \) です。

3.2. 例題 2: 0 < x < 1

集合 \( S = \{ x \in \mathbb{R} \mid 0 < x < 1 \} \) とします。Sの最大値、最小値、上限、下限を求めよ。
  • 最大値 (max): \( T \) には最大値は存在しません。1 に限りなく近づく要素はあっても、1 そのものは \( T \) に含まれていません。
  • 最小値 (min): \( T \) には最小値も存在しません。0 に限りなく近づく要素はあっても、0 そのものは \( T \) に含まれていません。
  • 上限 (sup): この場合、上限は \( 1 \) です。つまり、\( \sup T = 1 \) です。これは、1 より大きい \( T \) の上界は存在せず、1 は最小の上界だからです。
  • 下限 (inf): この場合、下限は \( 0 \) です。つまり、\( \inf T = 0 \) です。これは、0 より小さい \( T \) の下界は存在せず、0 は最大の下界だからです。

3.3. 例題 3: 数列の上限と下限

数列 \( S = \{a_n \mid a_n = \frac{1}{n}, n \in \mathbb{N}\} \) を考えます。ここで、\( n \) は自然数です。Sの最大値、最小値、上限、下限を求めよ。

まず、最大値について考えます。

数列 \( S \) の最初の項は \( a_1 = \frac{1}{1} = 1 \) です。数列の各項 \( a_n = \frac{1}{n} \) は \( n \) が増加するにつれて減少する単調減少な数列です。したがって、数列の最大値は最初の項であり、\( \max S = 1 \) です。

次に、最小値について考えます。

数列 \( a_n = \frac{1}{n} \) は \( n \) が増加するにつれて 0 に限りなく近づき単調減少します。よって、\( S \) には最小値は存在しません。

次に、上限 (sup)について考えます。

上限は集合の最小の上界です。数列 \( S \) の各項は 1 より小さいですが、1 が最小の上界であるため、上限は \( \sup S = 1 \) です。

最後に、下限 (inf)について考えます。

下限は集合の最大の下界です。数列の各項 \( a_n \) は 0 に限りなく近づきますが、どの項も 0 より大きいです。よって、数列の下限は 0 です。つまり、\( \inf S = 0 \) です。

以上の結果をまとめると、次のようになります。

  • 最大値 \( \max S = 1 \)
  • 最小値:存在しない
  • 上限 \( \sup S = 1 \)
  • 下限 \( \inf S = 0 \)

はるか
はるか
数列は0に近づくけど、集合に含まれていないことがポイント。
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