更新:2025/01/07

生存関数の意味と性質、計算方法について

はるか
はるか
生存関数って知ってる?
ふゅか
ふゅか
あ、知ってるよ!時間が経過してもまだ「生きている」確率を表す関数だよね。統計とか、医療、機械の耐久性分析に使うみたい!

1. 生存関数

生存関数(Survival Function)は、統計学や生存分析(Survival Analysis)において、ある時点までにイベント(たとえば死亡や故障)が発生せずに生存している確率を表す関数です。この関数は、特に故障や耐久性の解析、医学研究、保険数理、金融リスク管理などの分野で広く利用されます。

生存関数 \( S(t) \) は次のように定義されます:

\[ S(t) = P(T > t) \]

ここで:

  • \( T \) はイベントが発生する時間(例えば寿命や故障時間)を表す確率変数。
  • \( t \) は具体的な時間。
  • \( P(T > t) \) はイベントが時刻 \( t \) より後に発生する確率。

言い換えると、時点 \( t \) でまだ生存している(イベントが起きていない)確率を表しています。

  • 生存関数は信頼度関数とも呼ばれます。

2. 生存関数の性質

はるか
はるか
生存関数には特徴がいくつかある。例えば「単調減少」。
ふゅか
ふゅか
あ、それって時間が経つにつれて、生存の確率が低くなるってことだよね!だんだんイベントが起きるものだから。

2.1. 単調減少

生存関数は時間が経過するにつれて非増加(単調減少)します

\[ S(t_1) \geq S(t_2) \quad (\text{if } t_1 < t_2) \]

これは、時間が経つにつれてイベントが発生する対象が増えるためです。

2.2. 累積分布関数(CDF)との関係

累積分布関数 \( F(t) \) は、時点 \( t \) までにイベントが発生する確率を示します

\[ F(t) = P(T \leq t) \]

生存関数との関係は以下の通りです

\[ S(t) = 1 - F(t) \]

2.3. ハザード関数との関係

ハザード関数 \( h(t) \) は、時点 \( t \) でイベントが発生する瞬間の発生率を示します

\[ h(t) = \frac{f(t)}{S(t)} \]

3. 生存関数の計算例

ある機械部品の故障時間が、指数分布に従うとします。故障率(ハザード率)は \( \lambda = 0.1 \) (単位: 時間\( ^{-1} \))です。このとき、以下の質問に答えてください。

  1. 生存関数 \( S(t) \) を求めてください。
  2. この部品が10時間以上動作する確率を計算してください。

3.1. 生存関数の導出

生存関数 \( S(t) \) は、累積分布関数(CDF) \( F(t) \) を用いて次のように表されます

\[ S(t) = 1 - F(t) \]

指数分布の累積分布関数 \( F(t) \) は次のように表されるため

\[ F(t) = 1 - e^{-\lambda t} \] 生存関数 \( S(t) \) は次のようになります

\[ S(t) = e^{-\lambda t} \]

3.2. 10時間以上動作する確率

与えられた \( \lambda = 0.1 \) を代入すると、生存関数は: \[ S(t) = e^{-0.1t} \]

\( t = 10 \) のときの \( S(10) \) を計算します: \[ S(10) = e^{-0.1 \cdot 10} = e^{-1} \approx 0.3679 \]

したがって、この部品が10時間以上動作する確率は約 36.79% です。

4. 生存関数の具体例

4.1. 指数分布

イベント発生時間が指数分布(パラメータ \( \lambda \))に従う場合、生存関数は次のようになります

\[ S(t) = e^{-\lambda t} \]

4.2. ワイブル分布

ワイブル分布(パラメータ \( \lambda, k \))に従う場合、生存関数は

\[ S(t) = e^{-(\lambda t)^k} \]

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