はるか
ふゅか
1. 上三角行列の定義
上三角行列(じょうさんかくぎょうれつ、Upper Triangular Matrix)は、正方行列の一種で、行列の下半分の成分がすべてゼロであるものを指します。
上三角行列
A は、次のような形を持つ行列です。
A=a110⋮0a12a22⋮0⋯⋯⋱⋯a1na2n⋮ann
ここで、aij=0 となるのは i>j のときです。
1.1. 上三角行列の具体例
例えば、3×3の上三角行列は次のようになります。
A=200350147
この行列の行列式は、対角成分の積で計算されます。
det(A)=2⋅5⋅7=70
一般に、任意の n 次の上三角行列の場合も同様に、対角成分の積を取るだけで行列式を求めることができます。
det(A)=a11⋅a22⋅⋯⋅ann
対角成分で余因子展開をすることで、簡単に計算することができます。
1.2. 上三角行列の積
行列 A と B が両方とも n×n の上三角行列であるとします。このとき、行列 C=AB の成分 cij は以下のように計算されます。 cij=k=1∑naikbkj
A と B の下三角部分がゼロであるため、積 C の下三角部分もゼロになります。つまり、i>j の場合は cij=0 です。
1.3. 具体例
例として、2つの3次の上三角行列 A と B を考えます。
A=100240356,B=700810091112
これらの積 C=AB を計算します。
C=100240356700810091112=70028400608372
このように、積 C も上三角行列となります。