更新:2024/11/24

ベクトルのスカラーと平行なベクトル、成分の関係について

はるか
はるか
ベクトルは向きと大きさを持つ。でも、スカラーは違う。
ふゅか
ふゅか
そうそう!スカラーって数値だけのことだよね。

1. ベクトルとスカラー

ベクトルは、大きさと向きを持つ量です。例えば、2次元のベクトル \(\overrightarrow{{v}} = (x, y)\) は、座標平面上の点 \( (x, y) \) に向かう矢印として描かれます。

1.1. スカラー

スカラーとは、単に大きさ(数値)のみを持つ量です。ベクトルに対してスカラー倍をすると、そのベクトルの長さが変化し、向きが変わることもあります。

1.2. スカラー倍とベクトル

あるベクトル \(\overrightarrow{{v}} = (x, y)\) に対してスカラー \(k\) を掛ける操作をスカラー倍と言います。ベクトルの各成分に \(k\) を掛けることで、以下のようになります。

\[ k \overrightarrow{{v}} = (k \cdot x, k \cdot y) \]

例えば、\(\overrightarrow{{v}} = (2, 3)\) に対してスカラー \(k = 2\) を掛けると、スカラー倍後のベクトルは

\[ 2 \overrightarrow{{v}} = (2 \cdot 2, 2 \cdot 3) = (4, 6) \]

このように、スカラー倍をするとベクトルの向きはそのままで、長さが変化します。

2. 平行なベクトル

0ベクトルでない2つのベクトル \(\overrightarrow{{u}}\) と \(\overrightarrow{{v}}\) が平行であるとは、一方が他方のスカラー倍で表されるときです。

あるスカラー \(k\) が存在して

\[  \overrightarrow{{u}}と \overrightarrow{{v}}は平行 \Leftrightarrow \overrightarrow{{u}} = k \overrightarrow{{v}} \]

ふゅか
ふゅか
ベクトルがスカラー倍で表せると平行って言えるんだよね。
はるか
はるか
うん。スカラー \(k\) が存在して、\(\overrightarrow{u} = k \overrightarrow{v}\) なら平行。逆も同じ。

2.1. 証明

次の二つを証明します。

$$\overrightarrow{{u}}と \overrightarrow{{v}}は平行 \Rightarrow \overrightarrow{{u}} = k \overrightarrow{{v}}$$

$$\overrightarrow{{u}}と \overrightarrow{{v}}は平行 \Leftarrow  \overrightarrow{{u}} = k \overrightarrow{{v}}$$

$ \Rightarrow $を証明します。 \(\overrightarrow{u}\) と \(\overrightarrow{v}\) が平行であると仮定します。平行であるということは、これらのベクトルが同じ方向、または反対方向を向いていることを意味します。したがって、ベクトルの大きさが同じか異なる場合があるので、1つのベクトルが他方のスカラー倍として表される。

$$\overrightarrow{{u}} = k \overrightarrow{{v}}$$

今度は逆に、$ \Leftarrow$を証明します。 \(\overrightarrow{u} = k \overrightarrow{v}\) が成立すると仮定します。このとき、ベクトル \(\overrightarrow{u}\) はベクトル \(\overrightarrow{v}\) のスカラー倍であり、ベクトルの大きさは異なりますが、\(\overrightarrow{u}\) と \(\overrightarrow{v}\) は同じ方向または反対方向を向いていることになります。したがって、\(\overrightarrow{u}\) と \(\overrightarrow{v}\) は平行であると言えます。

ベクトル \(\overrightarrow{u}\) と \(\overrightarrow{v}\) が平行であることは、あるスカラー \(k\) が存在して \(\overrightarrow{u} = k \overrightarrow{v}\) が成り立つことと同値です。

2.2. 例

ベクトル \(\overrightarrow{{v}} = (1, 2)\) に対して、以下のベクトルが平行かどうかを確認してみましょう。
  1. \(\overrightarrow{{u}} = (2, 4)\)
  2. \(\overrightarrow{{w}} = (-1, -2)\)
  3. \(\overrightarrow{{p}} = (3, 5)\)

\(\overrightarrow{{u}}\) は \(\overrightarrow{{v}}\) のスカラー倍 \(2 \overrightarrow{{v}} = (2 \cdot 1, 2 \cdot 2) = (2, 4)\) なので平行です。

\(\overrightarrow{{w}}\) はスカラー倍 \( -1 \overrightarrow{{v}} = (-1 \cdot 1, -1 \cdot 2) = (-1, -2)\) なので平行です。

\(\overrightarrow{{p}}\) はスカラー倍で表すことができないので、平行ではありません。

2.3. スカラー倍と反対向きのベクトル

スカラー \(k\) が負の値のとき、ベクトルの向きは反転します。例えば、スカラー \(k = -1\) を掛けると、ベクトルの向きが逆転し、長さは変わりません。

ふゅか
ふゅか
スカラーが負の場合は、ベクトルの向きが反転するんだね!例えば、スカラー \(k = -1\) だと、向きが反対になるけど長さは変わらないんだ。

3. 平行なベクトルの成分の関係

$\vec a =(a_1,a_2),\, \vec{b} =(b_1,b_2)$とすると、平行であるとき、

$$a_1b_2-a_2b_1=0$$

が成り立つ。

例えば、次のように平行なベクトルがあるとする。

このとき、

$$a_1:a_2=b_1:b_2$$

したがって、

$$a_1b_2-a_2b_1=0$$

が成り立つ。

4. 関連した記事

PR