更新:2024/10/21

【ベクトル解析】ベクトル値関数とスカラー関数の意味と具体例について

はるか
はるか
スカラー関数は、出力がスカラー、つまり実数になる関数。
ふゅか
ふゅか
うん!例えば、ある空間の点に対してスカラーを対応させる感じよね!

1. スカラー関数

1.1. 定義

スカラー関数は、入力として数値やベクトルを受け取り、出力としてスカラー(実数値)を返す関数です。数学的には次のように定義されます。

\[ f: D \subseteq \mathbb{R}^n \rightarrow \mathbb{R} \]

ここで、

  • \( D \) は \( \mathbb{R}^n \) の部分集合で、関数の定義域です。
  • 出力が実数なので、値域は \( \mathbb{R} \) です。

1.2. 例

  • 一次関数\[ f: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}, \quad f(x) = 2x + 3 \]実数 \( x \) に対して実数 \( f(x) \) を対応させる写像。
  • 温度\[ T: \mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}, \quad T(x, y, z) \]空間内の点 \( (x, y, z) \) に対して温度 \( T \) を対応させる写像。

2. ベクトル値関数

はるか
はるか
ベクトル値関数は出力がベクトルになる。位置ベクトルとかが代表例。
ふゅか
ふゅか
例えば、速度ベクトルもそうだよね!位置ベクトルを時間で微分して求めるものだし。

2.1. 定義

ベクトル値関数は、入力として数値やベクトルを受け取り、出力としてベクトルを返す関数です。数学的には次のように定義されます。

\[ \mathbf{f}: D \subseteq \mathbb{R}^n \rightarrow \mathbb{R}^m \]

ここで、

  • \( D \) は \( \mathbb{R}^n \) の部分集合で、関数の定義域です。
  • 出力が \( m \) 次元のベクトルで、値域は \( \mathbb{R}^m \) です。

2.2. 例

  • 位置ベクトルの関数:\[ \mathbf{r}: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}^2, \quad \mathbf{r}(t) = \begin{pmatrix} \cos t \\ \sin t \end{pmatrix} \]パラメータ \( t \) に対して平面上の位置ベクトル \( \mathbf{r}(t) \) を対応させる写像。
  • 速度:\[ \mathbf{v}: \mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}^3, \quad \mathbf{v}(x, y, z) = \begin{pmatrix} -y \\ x \\ 0 \end{pmatrix} \]空間内の点 \( (x, y, z) \) に対して速度ベクトル \( \mathbf{v} \) を対応させる写像。

3. 応用例と具体的な使い方

3.1. スカラー関数の応用

位置エネルギー

\[ U: \mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}, \quad U(\mathbf{r}) \]

位置ベクトル \( \mathbf{r} \) に対して位置エネルギー \( U \) を対応させる写像。

3.2. ベクトル値関数の応用

電場

\[ \mathbf{E}: \mathbb{R}^3 \rightarrow \mathbb{R}^3, \quad \mathbf{E}(\mathbf{r}) \]

位置ベクトル \( \mathbf{r} \) に対して電場ベクトル \( \mathbf{E} \) を対応させる写像。

4. スカラー関数とベクトル値関数の違い

はるか
はるか
スカラー関数とベクトル値関数の違い、理解できた?
ふゅか
ふゅか
うん!スカラー関数は実数を返して、ベクトル値関数はベクトルを返すんだね。そ
スカラー関数 ベクトル値関数
写像の形式 \( f: \mathbb{R}^n \rightarrow \mathbb{R} \) \( \mathbf{f}: \mathbb{R}^n \rightarrow \mathbb{R}^m \)
出力 スカラー(実数) ベクトル
応用例 位置エネルギー 電場、磁場

5. 例題

パラメータ \( t \) によって定義されるベクトル値関数 \( \mathbf{r}(t) \) が以下のとおりであるとする。

\[ \mathbf{r}: \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}^3, \quad \mathbf{r}(t) = \begin{pmatrix} t \\ t^2 \\ t^3 \end{pmatrix} \]

このとき、速度ベクトル \( \mathbf{v}(t) \) を求めよ。

速度ベクトル \( \mathbf{v}(t) \) は位置ベクトルを時間で微分で計算できます。

\[ \mathbf{v}(t) = \dfrac{d\mathbf{r}}{dt} = \begin{pmatrix} \dfrac{d}{dt} t \\ \dfrac{d}{dt} t^2 \\ \dfrac{d}{dt} t^3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 \\ 2t \\ 3t^2 \end{pmatrix} \]

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