加重平均の意味と計算方法、応用事例について



1. 加重平均
加重平均(Weighted Average)は、データの重要度に応じて計算される平均値です。通常の算術平均ではすべてのデータを均等に扱いますが、加重平均ではそれぞれの値に重み(ウェイト)を設定し、重要なデータをより重視します。
1.1. 加重平均の計算式
加重平均は以下の式で計算されます。
\[ \text{加重平均} = \frac{\sum w_ix_i}{\sum w_i} \]
ここで
- \(x_i\):各データの値
- \(w_i\):各データに対応する重み
- \(\sum\):全データの合計


1.2. 加重平均の具体例
例えば、学生のテスト成績を算出する場面を考えましょう。
- 中間テスト(重み:0.4):80点
- 期末テスト(重み:0.6):90点
期末テストをより重視したい場合、加重平均を使います。ここで、重みの和は1になることに注意する。
- 各得点に重みを掛けます
- 中間テスト:80 × 0.4 = 32
- 期末テスト:90 × 0.6 = 54
- 重みを掛けた得点を合計します
- 32 + 54 = 86
結果として、総合点の加重平均は86点になります。
2. 加重平均の計算問題
2.1. 例題 1:テストの成績
ある学生が 3 科目のテストを受けました。それぞれの科目の点数とその重みは以下の通りです。点数の加重平均を計算しなさい。
科目 | 点数 (値) | 重み |
---|---|---|
数学 | 80 | 3 |
英語 | 70 | 2 |
理科 | 90 | 5 |
- 点数と重みを掛ける
- 数学: \( 80 \times 3 = 240 \)
- 英語: \( 70 \times 2 = 140 \)
- 理科: \( 90 \times 5 = 450 \)
- したがって、合計は $240 + 140 + 450 = 830$
- 重みの合計は10であるから、加重平均を計算すると、
\[ 加重平均 = \frac{830}{10} = 83 \]
答え:83 点
2.2. 例題 2:商品価格の平均
3種類の商品を購入しました。それぞれの単価と購入数は以下の通りです。単価の加重平均を計算しなさい。
商品名 | 単価 (値) | 重み |
---|---|---|
A | 200 円 | 2 個 |
B | 300 円 | 1 個 |
C | 500 円 | 3 個 |
- 単価と購入数を掛ける
- A: \( 200 \times 2 = 400 \)
- B: \( 300 \times 1 = 300 \)
- C: \( 500 \times 3 = 1500 \)
- 掛けた値を計算すると
\[ 400 + 300 + 1500 = 2200 \]
- 重みは6であることから、加重平均を計算すると
\[ 加重平均 = \frac{2200}{6} = 366.67 \, \text{円} \]
3. 加重平均と不等式の関係
加重平均は、不等式とも深い関係があります。加重平均が使われている不等式を見てみましょう。

3.1. 重み付きAM-GM不等式
重み付きAM-GM不等式(weighted AM-GM inequality)は、重みの和が
$$w_1 + w_2 + \cdots + w_n = 1$$
であるときに次の不等式が成り立ちます。
\[ \sum_{i=1}^n w_i a_i \geq \prod_{i=1}^n a_i^{w_i} \]
3.2. Jensenの不等式
凸関数 \( f(x) \) に対して、任意の実数 \( x_1, x_2, \ldots, x_n \) と非負の重み \( \lambda_1, \lambda_2, \ldots, \lambda_n \) が以下を満たすとします。
\[ \lambda_i \geq 0, \quad \sum_{i=1}^n \lambda_i = 1 \]
このとき、次のJensenの不等式が成り立ちます
\[ f\left( \sum_{i=1}^n \lambda_i x_i \right) \leq \sum_{i=1}^n \lambda_i f(x_i) \]
4. 移動平均との関係
加重平均は移動平均に重みづけするためにも利用されます。重みづけした移動平均を加重移動平均(WMA)と呼ばれ次のように計算れます。
\[ \text{WMA}_t = \frac{\sum_{i=0}^{N-1} w_{i+1} P_{t-i}}{\sum_{i=1}^{N} w_i} \]